宇宙で栽培された作物のリストにトウガラシが加わった。トウガラシには様々な栄養分が含まれており、ビタミンAとCが豊富だ。
米国航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士たちが、国際宇宙ステーションで自ら育てたトウガラシを収穫し、先日試食した。
NASAによると、宇宙飛行士たちは今年7月から、宇宙ステーションの室内栽培装置(APH)で「ハッチ・チリ(Hatch chile)」という品種のトウガラシを育ててきた。
宇宙飛行士たちは、このトウガラシを播種から約4カ月で収穫した後、地球から持っていったトマト、アーティチョーク(アザミの一種)、牛肉と共にトルティーヤに挟んでタコスを作った。NASAの宇宙飛行士メーガン・マッカーサー(Megan McArthur)さんは先月30日、「試食のために赤、青のトウガラシを収穫してタコスを作った」とし、トウガラシとタコスの写真をツイッターにあげた。
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48粒の種を送る…11月末にもう一度収穫
7月12日から始まったトウガラシ栽培は、史上最も長く複雑な宇宙栽培実験だ。NASAは、世界の24以上のトウガラシ品種を使って生長実験を行い、この品種を選択した。純粋な品種ではなく、ニューメキシコの伝統的なトウガラシとの交配を通じて作られた改良種だ。
収穫は11月末にも行われる予定だ。試食して余ったトウガラシは消毒処理を経た後、分析のために地球に送られる計画だ。
NASAは今年6月、貨物宇宙船で48粒のトウガラシの種を送り、種は粘土と肥料の入った栽培装置に植えられた。現在、宇宙ステーションには3台の植物栽培装置があるが、今回トウガラシを栽培した装置が最も大きい。栽培装置には180以上のセンサーと制御装置が設置されている。
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地上のケネディ宇宙センターが直に栽培過程を制御
トウガラシの栽培は、地上のケネディ宇宙センターが直に制御し、宇宙飛行士たちがこれを支援するというやり方で行われた。トウガラシが実をつけるための最も重要な過程は受粉だ。NASAは、様々な速度でファンを回して風を起こすという方式で受粉を誘導した。一部は宇宙飛行士が手作業で受粉させてもいる。
NASAは声明で「今回の実験には宇宙の作物の微生物分析と、宇宙で初めて栽培されたトウガラシの風味、質感、栄養についての乗務員の評価も含まれている」と述べた。
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宇宙で作物を栽培するメリット
宇宙での作物の栽培には大きく3つのメリットがある。1つ目は、宇宙現地で食品を直に育てて食べられるということ。特に、行くだけでも数カ月もかかる火星への旅では、真空パックされた食品といえども長期保管による変質、栄養素破壊の恐れがあるため、現地調達の必要性がより高くなる。2つ目は、植物が光合成の過程で二酸化炭素を除去し、酸素を供給してくれるということ。3つ目は、単調で孤独な宇宙生活において、育っていく緑の植物の存在そのものが、宇宙飛行士に心理的安定感を与えうるということ。
NASAの宇宙栽培実験は、2014年の赤いサニーレタスが最初だ。以後、緑のサニーレタス、キャベツ、からし、ケール、大根など10種あまりの作物が宇宙ステーションで栽培されてきた。NASAは地上での試験を通じて、将来宇宙に出る人たちの食品候補として100種あまりの植物を選び出している。