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イ・ヨンスさん「『慰安婦』問題を国連拷問禁止委に」

登録:2021-10-27 02:10 修正:2021-10-27 09:07
26日の記者会見で文在寅政権に要求…外交部「慎重に検討」
日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさんが26日午後、大邱市中区のヒウム日本軍慰安婦歴史館でオンライン記者会見を行っている/聯合ニュース

 日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさんは26日、国連拷問等禁止条約に基づく解決手続きを文在寅政権に求めた。

 イ・ヨンスさんが主導する「慰安婦」問題国際司法裁判所(ICJ)付託推進委員会はこの日午後、オンライン記者会見を開き、韓日両国政府の合意により「慰安婦」問題を国際司法裁判所に付託できない場合は、韓国政府が単独で国連拷問等禁止条約に基づく解決手続きを踏むよう、文在寅大統領に求めた。

 イさんは「『慰安婦』の歴史の歪曲を防ぐため、国際司法裁判所に慰安婦問題を付託するよう大統領にも要請したが、11月になろうとしているのに大統領府、外交部、女性家族部、人権委員会、国会からは何の回答もない」、「もう待てない」と述べた。そして「歴史の生き証人が2つの眼を見開いて生きているにもかかわらずこんな有様では、私たち(『慰安婦』被害者)がみな世を去ってしまったらどうなるのか」と問うた。

 イさんは今年2月、政府に「慰安婦」問題のICJへの付託を要請したが、韓国と日本の政府はいずれも明確な回答をしていない。韓国政府は、「慎重に検討する」との立場を繰り返しているが、日本がICJへの付託提案に応じる可能性はないうえ、法律的な争いになった場合は勝訴するかどうか予測できないとの判断から、「慰安婦」問題のICJへの付託は適切な解決策ではないとの立場を取る。

 このためイさんたちはひとまず、拷問等禁止条約による解決を求めることにしたわけだ。イさんは「私たち韓国の被害者だけでなく全世界の被害者のために、韓国政府が国連拷問禁止委員会(CAT)に慰安婦問題を持ち込み、日本が慰安所制度を作って運営したのは戦争犯罪であり倫理に反する犯罪だったという、明白な判断を受けてくれるようお願いする」と訴えた。

 推進委はこの日の報道資料で「『慰安婦』被害者たちが受けた被害は、国連拷問等禁止条約でいう『拷問(torture)』または『残酷な、非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰』に当たる」とし「国連拷問禁止委員会はこうした前提の下、韓日両国政府に対し『慰安婦』問題の被害者中心の解決を勧告してきた」と述べた。その根拠としては、「慰安婦」制度が日本軍当局の要請で設置・管理されたこと、「慰安婦」募集は官憲と軍の要請を受けた業者の甘言と強圧によって行われたこと、戦時性暴力などは個人に対して故意に深刻な身体的・精神的苦痛を加える行為だったことなどを挙げた。また2019年に拷問禁止委員会が「1990年代のボスニア内戦中の、セルビア民兵隊によるボスニア女性に対する強姦は、性(gender)と民族(ethnicity)に基づく差別によるもの」として「拷問」に当たると判断したことも挙げた。

 また推進委は、拷問禁止委員会は韓国と日本の提出した定期履行報告書に対する所見で、「慰安婦」被害者問題に対する懸念を表明するとともに勧告を行ってきたとし、拷問禁止委員会は「慰安婦」被害のことを拷問であると間接的に認めていると主張した。同時に日本政府が「慰安婦」問題の真相究明、戦争犯罪としての認定、公式謝罪などの7つの要求事項を履行していないことも、条約違反だと規定した。

 推進委は、このような日本の条約違反事項に対して、韓国政府は日本政府の同意なしに、拷問禁止委員会の国家間通知による調整手続き(第21条)を踏むことができると述べた。ただし、この手続きがこれまでに用いられた例はない。

 イさんの提案について、外交部のアン・ウンジュ副報道官はこの日午後の定例ブリーフィングで、「国連拷問禁止委員会を通じた解決手続きの問題は慎重に検討していく」とする原則論的立場を明らかにした。

 国連拷問等禁止条約は、拷問その他の残虐、非人道的または屈辱的な待遇や処罰の禁止に関する条約で、1987年に発効した。韓国は1995年に、日本は1999年に加入している。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1016733.html韓国語原文入力:2021-10-26 17:44
訳D.K

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