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ニューヨーク・タイムズが「慰安婦として初公開証言」金学順さんの訃報を掲載

登録:2021-10-27 02:09 修正:2021-10-27 08:12
注目に値するが報道されなかった人物シリーズで 
1997年に金学順さんが亡くなってから24年経て紹介
日本軍「慰安婦」被害者として被害事実を初めて公開証言した金学順さん。亡くなって24年を経て「ニューヨーク・タイムズ」が紙面に載せた金さんの訃報//ハンギョレ新聞社

 自身が日本軍「慰安婦」として大きな被害を受けたということを最初に公開証言した故金学順(キム・ハクスン)さん(1924~1997)の訃報が、米国の有力紙「ニューヨーク・タイムズ」に掲載された。

 ニューヨーク・タイムズは25日(現地時間)、訃報面の半分を使用し、「見過ごされた人々(Overlooked)」という連載の一つとして、金学順さんの人生と証言の意味を紹介した。この連載は同紙が1851年以来続けており、報道されなかった注目に値する人物たちの訃報を扱うもので、金さんの記事は21日にオンライン版で公開されたのに続き、25日には紙面に掲載された。金さんが1997年12月に肺疾患で亡くなって24年経ってのことだ。同紙は、2018年3月にはこの連載で女性独立運動家の柳寛順(ユ・グァンスン)烈士を紹介している。

 ソウル駐在特派員のチェ・サンフン記者が書いたこの記事は、金学順さんが1991年8月14日の記者会見で、慰安婦被害者として自らの被害事実を初めて証言する場面から始まる。記事は、金学順さんの強力な証言が、日本の多くの政治家が今も否定している歴史を現実として見つめられるようにしてくれたと指摘した。金学順さんの勇気ある証言の後、北朝鮮、フィリピン、インドネシア、マレーシア、オランダなどの慰安婦被害者も、歴史の前面に出てきて自らの被害を訴えることができるようになった。長きにわたり無視されてきた「戦時下の女性の人権」という問題が、人類が共に苦悩すべき重要な人権課題として浮上したのだ。

 この記事は、日本軍慰安所の運営を反人類犯罪と規定した1998年の国連報告書を作成したゲイ・マクドゥーガル元国連特別報告者が、今年行われたあるカンファレンスで「私が報告書に書いた如何なることも、金学順さんの30年前の直接証言が及ぼした影響力には遠く及ばない」と評価したということにも触れている。歴史学者で米コネチカット大学教授のアレクシス・ダデンさんも「金学順さんは20世紀の最も勇敢な人物の一人」とし、金さんの初期の証言が学者たちの研究を促進したと述べた。

 1924年10月に中国の吉林で生まれた金学順さんは、養父に連れられて訪れた北京で日本軍に捕まり、慰安婦として苦しめられたが、朝鮮人男性の助けで脱出した。記事は、夫と子どもを亡くし、底辺の暮らしの中で1991年に日本政府が慰安婦の動員を否定したというニュースに接し、公開証言を決心したということも紹介した。

 金学順さんの証言後、1992年から慰安婦被害者が中心となって、在韓日本大使館前で水曜集会が開始された。また1993年には、河野洋平官房長官が慰安婦に対する日本軍の介入と強制性を認めた「河野談話」を発表。韓国政府も金さんの初会見の日付である8月14日を「慰安婦被害者メモリアルデー」と定め、2018年から国の記念日としている。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1016652.html韓国語原文入力:2021-10-26 13:11
訳D.K

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