ソウルの明洞(ミョンドン)にある世宗ホテルが、経営危機を理由にリストラを進め、対象者の選定過程で調理、食器洗浄の担当者らにも外国語の口述試験を要求し、労働者が反発している。
世宗ホテルが17日に発表した「合理的で公正な整理解雇対象者選定のための基準」によると、評価基準には人事考課の成績だけでなく、外国語能力(5点)項目が含まれている。100点満点の評価基準で低い点数の労働者がリストラ対象者に選ばれる方式だ。
世宗ホテルは、労働者に対して英語の口述試験は必須とし、日本語と中国語のうち一つを選んで、12~13日に試験を受けるよう告知した。英語は3点、日本語または中国語は2点で、上中下に区別して点数をつける。ホテル側は「全職員は一人残らず外国語能力試験を受けるよう願う。試験を受けない場合、その職員は不利益を被ることがある」と明らかにした。
労働組合に属する労働者のほとんどは試験を受けなかったという。労組はホテルのリストラ要件に問題があるという立場だ。世宗ホテル労組のコ・ジンス委員長は「これまでホテルのフロントのように実質的に外国人宿泊客を相手にする人でも定期的に試験を受けてきたケースはほとんどなかったが、リストラ対象要件として外国語試験が入るのは受け入れがたい」とし、「3回にわたる早期退職で多くの人数が退社したにもかかわらず、引き続き出て行くよう圧力をかけられているようで苦しい」と述べた。
労組は、評価基準に財産保有項目が入っている点も問題だと指摘した。会社側がまとめた評価項目には、外国語能力や人事考課(45点)、賞罰事項(10点)、勤続年数(10点)、障害の有無(10点)、扶養家族(5点)などと共に、他の家族の所得(10点)、財産保有(5点)も含まれている。ホテル側は、職員に財産税納付証明書、健康保険証のコピーを提出するよう告知した。職員の生計を考慮しようとしているように見えるが、個人の私的情報を公開することに労働者らは拒否感を示している。コ委員長は「財産税納付証明書なども個人の私的な領域に該当するので、一般的に受け入れがたい基準だ」と述べた。
労組の反発にもかかわらず、ホテル側は12日、従業員への案内文で「ホテル業で語学は必須であり、調理や飲食に関連する仕事がないため、客室、総務、財経などの仕事しか残っておらず、実質的に語学(能力)がどの程度あるかによって転換配置の際の参考にせざるを得ない」と説明した。
世宗ホテルは昨年からの新型コロナウイルス拡散による経営危機を理由に、最近まで全職員を対象とした早期退職者の募集告知を3回出した。労組はリストラ対象者が今週中に発表されるものとみている。