本文に移動

コロナ長期化で自殺は少なくとも22人…黒いリボン掲げる自営業者たち

登録:2021-09-16 03:34 修正:2021-09-16 09:39
自営業者非対委、調査結果を発表…16日からオフライン焼香所も 
「いつまで耐えられるか」集合禁止で家賃滞納、売り上げ減少
自営業者たちが黒いリボンをプロフィール写真に設定し、最近自殺した自営業者たちを追悼している=カカオトークより//ハンギョレ新聞社

 「もう本当に他人ごととは思えません」

 大邱市東区(テグシ・トング)で居酒屋などを経営するJさん(39)は本紙の取材に対して、このところ相次いでいる自営業者の死を噛みしめ、ため息をついた。Jさんが営む店舗の近くで焼き鳥屋を営んでいた40代の自営業者も今年1月、自分の店で自殺した。「居酒屋だったのが、商売がうまくいかなかったので何かしてみようということで、昨年末に焼き鳥屋に業種を変えたんです。なのに夜9時までという営業制限のせいで、相変わらず商売があがったりだから大変だという話をよくしていました。客は多くても1~2組だけ。ニュースを聞いてコロナが自営業者たちを死地に追いやっているんだなと思い、本当に心が痛みました。私も状況は似ていて、いつまで耐えられるか…」。Jさんは言葉を濁した。

 コロナ禍の長期化で自営業者が困難にある中、20人以上の自営業者が自殺したという自営業者団体の調査結果が発表された。自営業者たちはSNSのプロフィール写真を黒いリボンに変えるなどで、コロナ禍で生活苦と経営難にさらされて自殺した自営業者たちを追悼している。

 15日、「コロナ対応全国自営業者非常対策委員会(非対委)」は「少なくとも22人の自営業者がコロナ禍がはじまった後に自殺したことが分かった」とし、12~14日に独自に募った事例を発表した。業種ごとの自殺者の人数は、遊興業11人、食堂5人、カラオケボックス3人、旅行業1人、カフェ1人、体育施設1人。今回の調査は、ソウル麻浦区(マポグ)で20年以上にわたり居酒屋を経営していた自営業者が自分の店で死亡しているのが発見された事件が明らかになったことで実施された。

 自殺した人々は、集合禁止措置で家賃が滞ったり、売り上げ減少で困難を訴えたりしていた。京畿道城南市盆唐区(ソンナムシ・プンダング)で食堂を経営していた自営業者は今年8月に、京畿道安養市(アニャンシ)の坪村(ピョンチョン)駅近くで居酒屋を経営していた自営業者は今年7月に自殺した。非対委はまた、「京畿道安養市のポムゲ駅近くでカラオケボックスを経営していた自営業者は、集合禁止で家賃が滞ったため、保証金も返してもらえずに退去させられ、うつ病に苦しんだ末に昨年末に死亡した」と明らかにした。

 ソウル麻浦区の弘益大学前で遊興酒場を経営していたAさん(37)は昨年8月、「一人で風に当たって来る」と言って出かけた旅先で自殺した。Aさんは、ビルの所有者が再契約に応じなかったため新村(シンチョン)から弘益大学前へ移転。その際に多額の借金を抱えたが、コロナ禍勃発以降、営業が禁止されて経営難に陥っていたという。Aさんの店の近所で居酒屋を営む知人のBさん(39)は「Aさんは周囲に借金を頼んで回っていた。営業禁止のせいで大変だという話をよくしていた」と語った。この日は、江原道の原州(ウォンジュ)警察署から、原州に住む自営業者Cさん(52)が13日に自宅で死亡しているのが発見されたという発表もあった。Cさんはコロナの影響で経営が苦しくなり、周囲に「つらい」と漏らしていたという。

 自営業者たちはオンラインとオフラインで彼らを追悼している。900人あまりの自営業者が集まる非対委のカカオトークのチャットルームには、プロフィール写真を「黒いリボン」にした自営業者たちが自殺した人々を追悼するとともに、互いを慰めるメッセージを書き込んでいる。自営業者たちが集うオンラインコミュニティーにも「知り合いではなくても涙が流れるのは、そうした選択をするに至るまでどれだけつらかったかが共感できるからです」、「私も何度か遺書を書いたことがあるので、その気持ちはよく分かるのですが…守ってあげられなくてごめんなさい」などの書き込みがあった。非対委は16日から3日間にわたって、彼らを追悼するためにソウルに焼香所を設ける計画であることを明らかにした。

 参与連帯はこの日、声明を発表し、その中で「このところ相次いでいるコロナ禍の被害自営業者の自殺は、もちろん一次的には世界的なコロナ災害に起因するものだが、国会や政府もその死に対する責任から自由ではありえない」と指摘した。参与連帯は「政府と国会に現在の社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を今すぐ緩和する計画がなく、ワクチン接種の拡大、集合禁止・制限措置以外にこれといった防疫対策がないのなら、今のような一時的な支援金にとどまるのではなく、全方位的な中小商人・自営業者対策を実施すべきだ」と主張した。参与連帯は「『広く浅い』全国民災害支援金ではなく、集合禁止・制限・被害業種を対象とする追加の緊急財政支援を直ちに実施するとともに、損失補償を繰り上げるべきだ」と訴えた。

キム・ユンジュ、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1011885.html韓国語原文入力:2021-09-15 17:26
訳D.K

関連記事