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「やっと苦しみのわけが分かった」…20~30代女性、ADHD4年間で7倍=韓国

登録:2021-10-01 07:10 修正:2021-10-01 08:56
最近4年間のADHD診療患者の中で、20~30代女性の増加幅が一番高い 
「トラブルメーカーの男子小学生」という偏見に隠された診断の遅れ
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 女性のAさん(23)は一昨年、うつ病とパニック障害の治療中に病院でADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断を受けた。Aさんは子どもの頃から自分を苦しめていた症状の実体にようやく気づいた。「学校に通っていた頃は毎日、すぐにカバンを持って家に帰りたいとか、椅子を持ち上げて投げとばしたいという思いに駆られていましたが、ぐっと我慢していたんです。成人後も仕事の優先順位が決められなかったり、考えが一瞬にして変わったりするなど、日常生活にも困難があったんですが、ADHDだとは思いませんでした。インターネットで検索しても、過剰行動を示す男の子や児童の事例ばかりだったんですよ」

 「注意散漫な男の子」の代表的な症状として知られるADHDと診断される成人女性が、このところ増えている。実際に、20~30代の女性のADHD患者がこの4年間で7倍増えたという統計が初めて確認された。

 30日に、共に民主党のシン・ヒョニョン議員が国民健康保険公団から提出を受けたADHD疾患の診療データを分析したところ、20~30代の女性ADHD患者は2016年の1777人から2020年には1万2524人へと、約7倍増加したことが分かった。全年齢層の中で増加幅が最も大きい。2016年には、20~30代の女性ADHD患者は全体の2.3%に過ぎなかったが、2020年には患者全体の10%を占めた。統計によると、10代以下でもADHDと診断される女性の数が増えている。9歳以下の女児は2016年に比べ2020年には34.1%増加し、男児の増加率(22.1%)を上回っており、10代も女性は25.4%増加(男性15.5%)していた。

 ADHDと診断される成人女性の増加は、「発見の遅れ」が最も大きな理由だ。幼年・青少年期にきちんと診察されなかったために「発見」されずにいたものが、成人後の精神科診療中に診断を受けて明らかになったケースだ。慶熙大学精神健康医学科のパン・ゴンホ教授は、「女性の場合、ADHDに伴ううつ病の診療中にADHDが発見されるケースが最近多い」と説明した。ADHDの経験をオンラインや本で打ち明ける女性も増えたことで、これを見て診療を受ける人も増えている。ADHDと診断されたキム・ヒジュさん(25)は「偶然、ADHDに悩まされている外国人女性の記事に接し、関連本を読んだことでADHDだと確信するようになった」と話した。

 専門家は、ADHDは男女を問わずに現れるにもかかわらず、多動・衝動型、注意欠如型、複合型などの様々なタイプのうち、多動・衝動型ばかりが強調され、「トラブルメーカーの男子小学生」の疾患というイメージが定着したと説明する。パン教授は「過去のADHDに関するコホート研究(長期間追跡調査)では、ほとんどの標本が男性であったため、女性ADHDについての研究が足りていなかった」と述べた。

 そのため、依然として女性のADHDは注目されずにいる。女性によく見られる「静かなADHD」型の会社員Pさん(30)は、「授業中にじっと座っているのがつらかったけれど理由が分からず、精神科ではなく整形外科に行ったりしてしまいました。一人で耐えてきたんです」と打ち明けた。Aさんは「精神科を転々として、ようやくADHDがあることが分かったんです。ある病院では、ADHDの症状ではないかと言ったら、医者が『そんなにおとなしくしているのに、ADHDであるわけがない』、『ぱっと見れば分かるけど、あなたは違う』と面と向かってとがめられました」と語った。

 女性のADHDの研究と治療に関心を持つべきだという声があがっている。医師でもあるシン・ヒョニョン議員は「まだADHDに対する認識が低く、早期診断と治療に困難を抱える成人女性が増えている」とし「医療界を中心に広範な研究と努力が必要であり、ADHD患者が疾患を早期に発見して適切な治療を受けられるようにすべきだ」と述べた。

イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1013487.html韓国語原文入力:2021-10-01 04:59
訳D.K

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