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ソウル市民の半分「コロナ以降、メンタルヘルスが悪化」

登録:2021-08-27 05:15 修正:2021-08-27 09:13
ソウル市自殺予防センター「2021ソウル自殺予防国際シンポジウム」 
ワッサーマン教授「コロナ終息後、自殺率増加するだろう」
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 コロナ禍発生以降、ソウル市民の半分にメンタルヘルス(心の健康)の悪化が見られることを示すアンケート調査の結果が出た。ソウル市自殺予防センターは、コロナ禍以降に自殺を試みる若者や女性が増えている問題に触れつつ、予防対策作りのために最善を尽くすと述べた。

 ソウル市自殺予防センターは、26日と27日の2日間にわたって「2021ソウル自殺予防国際シンポジウム」をオンラインで開催している。コロナ禍以降に起こっている社会環境の変化によるメンタルヘルスの危機を克服するための自殺予防戦略を模索する、というのがその趣旨だ。

 同センターが配布した資料によると、今年2月にソウルシンクタンク協議体(ソウル研究院などの23のソウル市傘下団体で構成)が821人のソウル市民に対して実施したアンケート調査(第3次ソウル市民コロナ実態調査)の結果、半数近い48.5%が「コロナがメンタルヘルスに否定的な影響を及ぼしており、情緒的に枯渇していることを感じる」と答えた。ソウルシンクタンク協議体は昨年のコロナ禍発生以降、3回にわたって同じ調査を行っているが、「メンタルヘルスが悪化している」との答えは1回目の調査(昨年4~6月)では46.3%、2回目の調査(昨年9月)では46.9%で、コロナ禍が長引いていることで「メンタルヘルスが悪化している」と答える人が増える傾向にある。

「2021ソウル自殺予防国際シンポジウム」資料集より//ハンギョレ新聞社

 ソウル市自殺予防センターは、コロナ禍以降、自殺を試みる若者と女性が増えていることを深刻にとらえている。同センターのキム・ヒョンス・センター長は基調発表で「コロナ禍の期間に自殺を試みる人の数は全般的には増えていないが、若者層の自殺は大幅に増えており、中でも女性の自殺が目立った」とし「今年も(自殺を試みる若者が)20%ほど増えているとみられるが、懇談会で若者に会ってみると、失業や結婚などで挫折したという声が多い」と述べた。同氏は「国内外の自殺予防専門家とともにコロナ時代の自殺予防を議論する。孤独や若者の問題について、ソウル市自殺予防センターは最善の努力を尽くす」と述べた。

 今回のフォーラムに参加した専門家たちは、コロナ禍以降、世界的に自殺とメンタルヘルス問題が社会問題として台頭するだろうとの見通しを示した。スウェーデンのカロリンスカ研究所メンタルヘルス医学科のダヌタ・ワッサーマン教授は「自然災害や戦争、感染症の流行中には自殺率が低下する傾向があり、実際にコロナ禍以降も国の統計を見れば自殺率の変化は大きくない。しかし多くの国で不安障害とうつ病の発生が増加しており、コロナ禍終息後に自殺率が増加すると予想する。社会全般的に社会経済的なセーフティーネットの構築が必要であり、精神健康管理システムの整備が必要」と述べた。

イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1009296.html韓国語原文入力:2021-08-26 17:48
訳D.K

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