韓国首都圏の社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング、以下距離措置)が12日から最高段階のレベル4に引き上げられ、2週間施行される。毎日更新される新規感染者数最多記録の規模と傾向を考えると、遅い感はあるものの、これまで経験したことのないほど日常を止めなければならない負担もまた非常に大きい。まさに“劇薬処方”だ。一度で効果を上げることができなければ、次のカードは“封鎖”(ロックダウン)しかないと見るべきだ。一日も早く日常を回復するためには、国民一人ひとりが大衆利用施設の利用を控えるなど、生活防疫の手綱を引き締めることが何よりも重要だ。
レベル4の距離措置の主な内容は、午後6時以降に私的な集まりを2人に制限する措置だ。事実上、夜はほとんどの私的な集まりが不可能になる。不要不急の会合は2週間後に延期すべきというメッセージだ。何が禁止され、何が認められるかは二の次だ。過去の距離措置にはあったテイクアウトの以外のカフェ利用禁止のような措置は今回含まれていない。新しい距離措置は、専門的な防疫判断で作られたものの、絶対的なものではない。追加措置が必要な場合は直ちに施行すべきだ。
少しずつ拡大していた学校などの登校授業も来週から全面遠隔授業に戻る。幸い、もうすぐ夏休みなので遠隔授業の期間は長くないだろう。しかし、教育部の強い意志にもかかわらず、2学期からの登校授業の全面再開が状況によっては危うくなるという脆弱な構造に置かれている現実が明らかになった。登校授業がさらに1学期先送りになった場合、国家教育において“失われた世代”が生まれるのは必至だ。夏休みの間、ワクチン接種を含め、あらゆる対策を動員しなければならない。
距離措置を強化すれば、零細自営業者らの生計が直ちに崖っぷちに立たされる惨憺たる状況が、1年6カ月もの間繰り返されている。幸い、今月1日に自営業者損失補償法が公布され、法施行後の営業禁止・制限措置に対する損失を補償するための補正予算案に6000億ウォン(約570億円)が編成された。しかし、レベル4の距離措置という状況の変化は反映されなかった。韓国国会と政府は、補正予算を新たに編成する覚悟で、自営業者の損失補償財源を十分確保しなければならない。
9日午前0時までの24時間の間、一日の新規感染者数が1316人を記録した。しかし、専門家らは第4波がピークを迎えるまで増え続けると予想する。疾病管理庁も最悪の場合、2140人まで予測している。先月、韓国政府が7月になれば距離措置が緩和され、ワクチン接種者はさまざまな防疫措置から自由になると予告したのを思い浮かべると、開いた口がふさがらない。政府が信頼を失えば、防疫は成功できない。国民の協力を望むなら、失策に対する痛烈な反省と率直に認める姿勢が必要だ。
距離措置を強化した効果が感染者数に反映されるまでは、10日以上かかる。その間、本格的な夏休みシーズンが始まり、非首都圏への移動量の増加につながる可能性が高い。非首都圏まで動揺すれば、レベル4の距離措置も危うくなる。今週末がレベル4の距離措置の勝敗のバロメーターになるだろう。