日帝強制動員の被害者たちが、最高裁の確定判決を受けても損害賠償金を支払っていない戦犯企業である三菱重工業が韓国内の企業から受け取ることになっている物品代金に対する債権の差し押さえ申立てを取り下げた。
強制動員被害者とその家族の訴訟代理人団は2日、三菱重工が韓国企業から受け取ることになっている物品代金に対する債権の差し押さえ及び取り立て命令申立ての取り下げ書を、水原(スウォン)地裁安養(アニャン)支部に提出したことを明らかにした。
2018年11月に最高裁で勝訴した被害者たちは最近、三菱重工が韓国のLSグループの系列会社であるLSエムトロンから受け取るべき8億5000万ウォン(約8060万円)相当の物品代金に対する債権を差し押さえるよう裁判所に申し立てていた。各被害者に8000万ウォン(約759万円)から1億5000万ウォン(約1420万円)を支給することを命じた最高裁の確定判決にもかかわらず三菱重工は賠償金を支払っていないため、三菱重工がLSエムトロンと取引してきた事実を確認し、債権の差し押さえを申し立てたもの。
これに対して裁判所は先月12日、債権差し押さえと取り立てを命じた。しかし同月23日、LSエムトロンは「取引してきたのは三菱重工ではなく、その子会社の三菱重工エンジンシステム」との内容の第三者債務者陳述書を裁判所に提出した。差し押さえられた代金は三菱重工ではなく、別法人である三菱重工エンジンシステムに支払うべきものだという主張だ。トラクターのエンジンなどを生産・販売する三菱重工エンジンシステムは、三菱重工が100%の株式を保有する子会社だ。
被害者の訴訟代理人団は、LSエムトロンの主張は事実に合致するとみて、裁判所に債権差し押さえ及び取り立て命令申立ての取り下げ書を提出し、差し押さえは解除された。代理人団のイム・ジェソン弁護士は「第三者債務者陳述書とそれに添付された証拠資料を確認した」とし「LSエムトロンが数多くのメディア報道を通じて『LSグループが三菱重工を購入先として公示したのは誤記』と認め、先日これを訂正する公示まで行ったことも確認したため、裁判所に取り下げ書を出した」と説明した。