新型コロナウイルスのデルタ株が流行の第4波において急速に拡散し、優勢となっている中、既存のウイルスより感染力の高いデルタ株が重症化率や致命率などではどの程度危険なのかに関心が集まっている。この危険性が把握できれば、ワクチン接種率が上がるにつれて、統制中心の防疫から日常回復を優先する防疫へと切り替えようという社会的議論が本格化するものとみられる。
中央防疫対策本部(防対本)は27日、先週(7月18~24日)に新型コロナウイルスの遺伝子検査を行った国内の2249人の感染者のうち、1233人(54.8%)が主な変異株に感染していたことを発表した。特に注目すべきは、2249人の感染者の48%に当たる1080人がデルタ株に感染していたことだ。防対本のイ・サンウォン疫学調査分析団長はこの日のブリーフィングで「今や韓国もデルタ株が優勢」と述べた。
2月26日に高危険群である高齢層のコロナ予防接種が開始されて以降、重症に至る感染者の割合である重症化率と死に至る感染者の割合である致命率は、徐々に下降曲線を描いてきた。月ごとに見ると、予防接種前の今年1月の重症化率は3.15%、致命率は1.42%だった。しかし療養病院の入院患者と75歳以上の高齢層、60歳以上の高齢層などに対する予防接種が順次行われた後の今年6月には、重症化率は2.22%、致死率は0.24%に下がった。年齢層ごとに見ると、接種率の高い60歳以上の重症化率は、6月第4週(6月20~26日)の10.08%から、7月第1週(7月4~10日)には4.83%へと低下した。接種率が高くない60歳未満では、同期間の重症化率は1.23%→1.13%で、大きな変化はない。イ団長は「第4波で全体的に患者の発生は増えたが、重症化率は60歳以上ではそれほど高まっていない。60歳未満も高くなってはいないが、患者発生の規模が大きくなっていることから、重症患者数は増える可能性があると判断している」と述べた。
集計の結果、24日までに韓国国内でデルタ株の感染が確認された2938人のうち、危篤に陥った患者の数は累計で89人、死者は5人。アルファ株の感染が確認された2869人のうち、危篤に陥った患者の数は55人で、死者は9人。ただし、優勢となったデルタ株の拡散が致命率にどのような影響を及ぼすかは、まだ把握されていない。イ・サンウォン団長は「入院率はアルファ株の2.2倍と評価されるが、致命率についてはまだ明確な研究結果がない」とし「デルタ株の方が致命率が高いという根拠はまだない」と述べた。高麗大学九老病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)も「感染力は確かに高くなっているが、主に上気道でウイルスが増殖するため、重症化への影響は限定的だと考えられる」とし「結局は、重症になる可能性が高い年齢層がどれだけ保護されているかが致命率を決めることになるだろう」と述べた。
コロナ感染後に危篤となり、その後、死に至るまでには1カ月ほどの時間がかかる。このため、デルタ株が本格的に影響を及ぼしている第4波の人命被害がどの程度のものになるかは、8月中旬ごろに輪郭が明らかになる見通しだ。その時期は、50代の多くが1次接種を終えている頃だ。
こうした中、病院の第一線でコロナに対応している一部の専門家は、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)をはじめとする防疫措置と、自営業者の生計活動などの日常との関係設定について、徐々に新たな議論を行う必要があると指摘する。ソウル大学病院のキム・ナムジュン教授(感染内科)は「第3波では、療養病院での感染などの影響で、集中治療病床が最大で50床埋まったことがあった。現在は病床が12床ある中で患者は5人程度」だとし「今のような雰囲気なら2学期の全面登校は難しいだろうが、経済や教育などの社会の多方面で発生している被害を最小限に抑えるための方策を議論すべき時に来ている」と述べた。国立中央医療院中央感染症病院運営センターのパン・ジファン・センター長も「昨年の第3波では療養病院での集団感染が相次ぎ、集中治療室がぎっしりと埋まっていたが、今回の流行はそうではない」とし「(第4波を主導する)若年層のコロナ感染は感染者も重症化リスクが低く、社会的被害も少ない。感染力の高いコロナとの長期戦を戦わなければならないだけに、(全方位的なソーシャル・ディスタンシングよりも)高齢層などの高危険群の保護と治療への対応の集中の方が戦略的」だと述べた。
対外経済政策研究院のチャン・ヨンウク副研究委員も「変異株の致命率と感染力そのものはモニタリングしつつ、コロナと共に生きていくための社会的議論を進める必要がある」と述べた。