大韓民国政府樹立の初期に民間人の多くが国家暴力の犠牲になった麗水(ヨス)・順天(スンチョン)事件の真相が、事件から73年目にして明らかにされるようになった。
国会は29日に本会議を開き、在籍議員231人のうち賛成225人、反対1人、棄権5人で「麗水・順天10・19事件真相究明および犠牲者の名誉回復に関する特別法」(麗水・順天事件特別法)を可決した。73年間、反共主義に押さえつけられ痛恨の歳月を送った犠牲者と遺族が無念を晴らす道が開かれた。
麗水・順天事件特別法は、同事件を「麗水に駐屯していた国防警備隊14連隊が、済州4・3事件の鎮圧命令を拒否して蜂起した1948年10月19日から、智異山(チリサン)への入山禁止措置が解除された1955年4月1日まで、麗水と順天を含む全羅南道・北道と慶尚南道の一部地域で起きた武力衝突と、この過程で民間人多数が犠牲になった事件」と明示し、真相究明と被害者の名誉回復を定めた。このため、首相所属の「麗水・順天10・19事件真相究明および犠牲者名誉回復委員会」(名誉回復委)が設置され、名誉回復委は2年間真相調査を行った後、6カ月以内に真相調査報告書を発刊する。名誉回復を望む麗水・順天事件の犠牲者と遺族は、名誉回復委が設置された後、1年以内に被害内容を届け出て調査に応じればよい。
これに伴い、国家は慰霊墓域と公園を作り、史料館と慰霊塔を建てるなど記念事業を推進する。特別法は公布6カ月後に施行され、名誉回復委の活動は来年初めから本格化するものとみられる。
麗水・順天事件特別法は2001年の第16代国会から4回発議されたが、毎回会期終了とともに自動廃棄されていた。第21代国会に入り、昨年7月に議員152人が再び発議し、国民の力がこれまで反対していた態度を変えたことで、国会を通過した。麗水・順天事件遺族会は「法制定が遅れ遺族でさえ高齢になった状況を考慮し、速やかに真相究明と名誉回復を推進してほしい」として歓迎した。