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静かだったTHAADめぐる衝突、5~6月だけで11回…なぜ?

登録:2021-06-22 03:28 修正:2021-06-22 08:06
5月に入り、週に2回工事装備を搬入 
「施設劣悪」vs「なぜ今になって」
今月18日午前、慶尚北道星州郡草田面韶成里の地区会館前の道路で、警察が住民やTHAAD反対団体のメンバーたちを強制解散させている=THAAD撤回韶成里総合状況室提供//ハンギョレ新聞社

 「立ちなさい、立ちなさい」

 「なんで立てとばっかり言うんだ! どかないよ。私はどかないって」

 「お母さんたち、お願いします」

 「人を排除するんじゃなくてTHAADを排除しろ!」

 18日午前6時ごろ、慶尚北道星州郡草田面韶成里(ソンジュグン・チョジョンミョン・ソソンリ)にある地区会館前の道路でこのような場面が繰り広げられていた。在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)基地へと向かう要所であるこの場所では、5月の第3週から週に2回、このようないざこざが起こっている。「対話警察」という標章をつけた警察が80歳を超える高齢者を繰り返し捕まえてなだめる。警察のバスからは「道路上に座っているご年配のみなさん、みなさんの安全のために、地区会館の前に移動して下さい」という警告放送が流れる。

 この日午前6時ごろから村に入ってきた1000人あまりの警官は、1時間半ほどの鎮圧の末、住民とTHAAD反対団体のメンバーを全員解散させた。警察が道を開けば、国防部がTHAAD基地に各種の物資を積んだトラックを入れる。

 今年に入って、THAAD基地の前では住民と警察が14回も衝突した。今年1月から4月にかけて繰り広げられた衝突は3回だけだった。しかし国防部が今年5月14日以降に装備搬入を週2回に定例化したことで、5月に6回、6月に5回(6月21日現在)衝突が起きた。国防部は、将兵の使用する宿舎が古すぎるため、施設改善工事のための装備を持ち込んでいると明らかにした。国防部の関係者は「もともとやっておかなければならなかった工事なのだが、絶対に必要な場合に限って航空機で装備を輸送していたので困難だった」とし「この5年間、工事が遅延していた。将兵たちの基礎的な生活環境は保障されなければならない」と述べた。

 しかし、韶成里の住民やTHAAD反対団体は、今年5月に入ってとりわけ工事を急ぐ理由が理解できないとの立場だ。韶成里で住民と共に闘っている参与連帯平和軍縮センターのチーム長、ファン・スヨンさんは「そもそも急にTHAADを配備した時もゴルフ場にミサイルを入れた。そんな劣悪な配備に韓米が合意したのだ。今さら施設が劣悪だとばかり説明するのは理解できない」と述べた。

 反対派は、先の韓米首脳会談の前後に、両国の間である種の合意が取り交わされたのではないかとの疑念を示した。ファンさんは「体感では、今年5月の韓米首脳会談のころから衝突が多くなった。韓米首脳会談前から何らかの協議があったようで、米国が米軍基地へのアクセスについて要求し続けてもいた」と述べた。

 現在進められている兵士宿舎の環境改善工事は、正確な期日も決まっていない。国防部の関係者は、「正確な工事期日は分からない。通行路の確保状況によって(工事の日程が)変わるだろう」と述べた。住民との衝突を最小化するために装備の搬入回数を減らすべきだという意見に対しては「工事というものは一度に物資をすべて入れておいてできるものではない。工事日程に合わせて装備を入れなければならない。廃棄物や汚水、排水なども絶えず発生するため、一度に入れることはできない」と述べた。

 国防部が住民との妥協点を探らずに週2回の装備搬入に固執するのは、事実上住民との衝突を定例化させたも同然だとの指摘もある。国防部は先月24日、星州郡、星州郡の市民団体などとTHAADをめぐる対立を解決するための共存協議会を開いたが、その翌日の25日には工事装備を搬入し、いつもと同じく衝突を招いた。共存協議会には肝心の韶成里の住民が参加しておらず、「中途半端だ」との批判を受けてもいる。

 5月以降は事実上、国防部の車両が韶成里の地区会館前を通るたびに衝突が起きている。装備の搬入が頻繁になったことで、消耗的な衝突はもちろん、負傷者まで発生している状況だ。ファンさんは「違法な工事とTHAADシステムをアップグレードする試みは防ぐしかないが、これまでは生活必需品の搬入をめぐって衝突したことはなかった」とし「地区会館前で道を確保したついでに生活必需品も一緒に搬入しているが、今はどんな装備が入るのかモニタリングできていない状況なので、衝突が生じ続けている」と述べた。そして「警察が無理やり人を引きずりだすせいで負傷者が続出している。今のような工事装備の暴力的な搬入は中止すべき」と述べた。

 韶成里の住民とTHAAD反対団体は2016年から、THAAD配備に伴う一般環境影響評価を含むTHAAD配備手続きの中止とTHAAD配備の撤回を要求し、5年にわたって闘争を続けている。

キム・ギュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1000220.html韓国語原文入力:2021-06-21 14:43
訳D.K

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