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[コラム]THAADの弁明

登録:2020-02-26 06:57 修正:2020-02-28 19:50

 国内でTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)問題が議論になると、ほとんど反射的に「韓国の米国のミサイル防衛(MD)への参加・編入」の問題が後に続き、しばしば二つが必ずくっついてくる“セット”のように感じられたりする。この前の米国のミサイル防衛局(MDA)が予算説明会でTHAADの性能改良計画を明らかにした時も同じだった。直ちに性能改良が韓国の米国のミサイル防衛網への編入を狙って推進されるのではないかという疑惑が提起された。

 脈絡を探ってみるとあり得ないことではない。韓国での米国のミサイル防衛編入の議論は2000年代初めにまでさかのぼる。当時のジョージ・ブッシュ政権が米国本土と同盟国にミサイル防衛の構築を推進すると、直ちにロシアなどは「米ソ間弾道弾迎撃ミサイル(ABM)協定違反」と言って強く反発した。金大中(キム・デジュン)政権は米国とロシア・中国との間の対立が激化すると、議論の末に「米国のミサイル防衛に反対も参加もしない」と明らかにした。

 これには当時の中国とロシアの激しい反発だけでなく、北朝鮮が深刻な経済難により戦争遂行能力が尽きており、ミサイル防衛自体の軍事的効用に対する否定的な見解が多かった現実などが考慮された。それ以後、韓国の米国ミサイル防衛不参加は政権交替と関係なく公式の立場となった。

慶尚北道星州に配備されたTHAADの外観//ハンギョレ新聞社

 にも関わらず議論が消えないのは、何より米国の当局者が暇さえあれば韓国のミサイル防衛への参加を促したり既定事実化する発言をしてきた一方で、これに対する韓国政府の釈明は「米国のミサイル防衛に参加しない」という既存の立場をオウムのように繰り返し言うこと以外には何もなかったからだ。特に2017年のTHAAD配備は、中国の強い反発と相まって新しい火種となった。米軍の戦略資産であるTHAADが米国本土や沖縄、グアムなど海外の米軍基地に飛んで行く弾道ミサイルを中間で迎撃するために朝鮮半島に前進配備されたのではないかという疑惑が提起されたのだ。

 国防部はこれに先立ち2012年10月に韓国の米国ミサイル防衛参加の基準として、▽地上発射迎撃ミサイル(GBI)基地の提供▽Xバンドレーダーの設置▽ミサイル防衛の共同研究の費用支給など3つを提示した後、「わが軍はどれにも該当する事項はない」と説明したことがある。しかしTHAADは強力なXバンドレーダーで武装した弾道弾迎撃システムだ。THAAD配備で韓国が米国のミサイル防衛に編入されるのではないかという疑問が提起されるのは当然の流れであるわけだ。

 しかし、果たして問題をこのように見るのが妥当なのだろうか。国防部が提示した基準がどの程度客観的で妥当なのかを巡り、発表当時にも問題提起があったが、振り返ってみると国防部が「米国のミサイル防衛に参加していない」という根拠を強引に作り出すために作為的な基準を提示したのではないかと疑われる。

 軍当局が米国とは別に「韓国型ミサイル防衛」(KAMD)という独自の弾道弾迎撃システムを構築しているのは事実だ。それでも、このシステムが計画通り2020年代中頃に完成した後に米国のミサイル防衛と別に「独立的に」作動するはずだと信じるのは難しい。

 現代戦は動員可能な探知資産と打撃資産、意思決定など全ての戦闘単位がネットワークで繋がれ、リアルタイム情報をやりとりして戦闘力を極大化する方式に進化している。いわゆる「ネットワーク中心戦」だ。韓国型ミサイル防衛と米軍のミサイル防衛が例外となる理由はない。韓米間のミサイル防衛は「相互運用性」の名の下にそのように互いにネットワークで繋がれ、リアルタイム情報を共有して動作するようになる。

 それならば、これこそが韓国が米国のミサイル防衛に編入されると見なす証拠ではないだろうか?そのようにも見ることもできる。しかし情報通信の発達などによる環境変化を視野に入れてみると、「編入」という用語が相変わらず問題の核心を全て表すのに適切なのかにも疑問が生じる。

 米軍主導のネットワークに入るかどうかは、すでに単純な政策意志の問題を超えたようだ。ネットワークが戦争遂行の方式で中心的な地位に上がり、同盟もこのネットワークに入っていかなければならない時代であるなら、ミサイル防衛を巡る議論にも編入の可否を超えて先に進んだ新しいフレームが必要ではないだろうか。

//ハンギョレ新聞社

パク・ビョンス論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/929781.html韓国語原文入力:2020-02-26 02:08
訳M.S

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