朝鮮労働党のキム・ヨジョン副部長が2日、一部の脱北者団体の一方的な対北朝鮮ビラ散布の主張を捉え、文在寅(ムン・ジェイン)政権を非難し、「相応の行動を検討」すると明らかにした。
キム・ヨジョン副部長は「労働新聞」2面に掲載された個人談話で「先日、南朝鮮で『脱北者』らが反共和国ビラを散布するという容認できない挑発行為を強行した」とし「南朝鮮当局は『脱北者』らの無分別な妄動を再び放置し、阻止しなかった。我々ももはや放っておくわけにはいかない」と述べた。
キム副部長のこのような主張は、事実関係と名分の面で不十分であり、行き過ぎたものに思える。まず、自由北韓運動連合は4月25~29日に非武装地帯(DMZ)付近の京畿道・江原道一帯で、ビラなどを北に飛ばしたと4月30日主張したが、”物証”は示さなかった。さらに統一部は4月30日、「南北関係発展法の立法の趣旨に合わせて対処していく」と明らかにした。ビラ散布の事実が確認されれば、「境界地域住民の生命・安全保護」を理由に軍事境界線一帯の「ビラ散布、拡声器放送」などに「3年以下の懲役または3千万ウォン以下の罰金」を規定した南北関係発展法第24・25条を根拠に処罰する方針を示したのだ。
統一部は2日にも「政府は北朝鮮を含めいかなる者も朝鮮半島に緊張を造成する行為に反対する」としたうえで、「ビラ散布問題は警察の専門担当チームが調査するだけに、住民の生命と安全保護のための『南北関係発展法』がその趣旨に合致するよう、確実に履行されなければならない」と明らかにした。事実上、「事実確認後に処罰する」という方針を再確認したわけだ。ただし、政府当局者は「まだビラ散布の主張があるだけで、物証を確認できていない状態だ」と述べた。
これに比べ、北朝鮮側がこの日「キム・ヨジョン談話」と外務省の対米非難談話を同時多発的に発表した事実に注目する必要がある。元政府高位関係者は「北朝鮮は『韓国を叩いて米国を動かす』という戦略を駆使しようとしているようだ」とし、「5月21日の韓米首脳会談を控え、北朝鮮による韓国への追加の圧迫措置が続く可能性がある」と指摘した。