キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会宣伝煽動部副部長が30日、「米国産のオウム」「鉄面皮」などの激しい言葉で文在寅(ムン・ジェイン)大統領を非難した。ホワイトハウスは、米国のジョー・バイデン大統領の描く北朝鮮外交的アプローチに「金正恩国務委員長と会う」のは(少なくとも現時点では)含まれていないと明らかにした。北朝鮮は韓国に、米国は北朝鮮に「あなた方の望み通りにはならない」と公に宣言したわけだ。バイデン政権の発足とともに注目を集めた朝鮮半島平和プロセスの再開はおろか、激しい言葉の応酬や“比較的小規模の警告行動”、冷ややかさが入り混じった神経戦の展開で、朝鮮半島情勢が揺らいでいる。
キム・ヨジョン副部長は30日、「朝鮮中央通信」に発表した個人談話で、「北と南の同じ国防科学研究所で行われた弾道ミサイルの発射実験をめぐり、自分たちが行ったのは朝鮮半島の平和と対話のためであり、我々が実施したのは南の同胞たちの懸念を高め、対話の雰囲気に困難を与えることは決して望ましくないことだとは、その鉄面皮ぶりに驚愕を禁じ得ない」と述べた。さらに「このように非論理的で厚顔無恥な行動は私たちの自衛権を国連“決議”違反だの、国際社会に対する“脅威”だのといった米国の強盗のような主張に驚くほどそっくりだ」としたうえで、「米国産のオウムだと“賞賛”されても仕方がないだろう」と非難した。そして「時には世の中が自分をどう見ているのか、少し振り返ってみてはどうかと思う」と主張した。
文大統領が北朝鮮側の「新型戦術誘導弾の発射実験」に懸念を示したことに対し、昨年7月23日に同大統領が創設50周年を迎えた韓国国防科学研究所を訪れ「十分な射程距離と世界最大水準の弾頭重量を備えた弾道ミサイルの開発」を激励した事実と結びつけて非難したのだ。「キム・ヨジョン宣伝扇動部副部長」を北朝鮮側が初めて公式に確認した同談話は、対外用の「朝鮮中央通信」でのみ公開され、北朝鮮の人民たちが読む「労働新聞」には掲載されなかった。
統一部はキム副部長の談話と関連し「どんな瞬間にも(南北間で)互いに対する言動においては最小限の礼儀を守らなければならない」とし、「強い遺憾を表する」と明らかにした。
一方、米ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は29日(現地時間)のブリーフィングで、「バイデン大統領が北朝鮮と一定の形での外交に臨む用意があると述べたが、金正恩委員長と対面するのもそれに含まれるのか」という質問に対し、「彼(バイデン大統領)のアプローチはかなり違うと思う。そしてそれは彼の意図ではない」と答えた。これは「バイデン大統領は金委員長に会うつもりがない」という意味で、金委員長と3回会ったドナルド・トランプ全大統領とは違う「新しいアプローチ」を取るという従来の方針を再確認したものと言える。ただし、バイデン大統領は昨年10月の大統領選候補討論で金委員長と会うための条件があるのかという質問に対し、「彼が核能力を縮小することに同意するという条件で」と答えたことがある。 これと関連し、アントニー・ブリンケン米国務長官は29日、オンライン記者会見で「北朝鮮政策の見直しが結論に至っている」と述べた。今週後半、ワシントンで行われる韓日米安全保障室長の対面協議で“最終調整”が行われると予想される。