最高検察庁は、公職を利用して不動産投機を行った者を全員拘束し、法定最高刑を求刑するよう、全国の検察庁に指示した。韓国土地住宅公社(LH)の職員による第3期新都市投機事件で浮上した公職社会全般の投機疑惑に対し、検察が強く対応していく方針を明らかにしたもの。
最高検察庁は30日、全国43の検察庁に「不動産投機の根絶に総力で対応する」ことを目的として、不動産投機事犯の専門捜査チームの拡大設置▽公職関連投機事犯における全員の拘束および法定最高刑の求刑▽最近5年間に処分された不動産投機関連事件の再点検、などを指示した。これは、前日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が主宰した第7回公正社会反腐敗政策協議会で、LH捜査について出た指示事項を受けての措置だ。チョン・セギュン首相は、全国43の検察庁に専門捜査チームを設置し、500人あまりの検事と捜査官を投入することなどを提示していた。
最高検察庁は、公職者による投機行為を「公的地位と権限を利用して私益を得た腐敗犯罪」と規定し、不寛容原則を適用することを決めた。これに沿って、業務上の秘密を利用したり、開発情報を漏らしたりするなど、公職者の地位を利用した不動産投機犯罪を「重大腐敗犯罪」と見なし、全員の拘束と法定最高刑求刑の原則を定めた。企画不動産などの民間不動産の投機犯罪に対しても、営業的、反復的な投機事犯については拘束捜査するとともに、罰金刑を大幅に引き上げるなどの厳正な対応も予告した。
また最高検察庁は、全国の検察庁に1つの規模で「不動産投機事犯専門捜査チーム」を拡大設置するよう指示した。捜査チームは部長検事1人、検事3~4人、捜査官6~8人以上で構成される。全国で500人あまりの検事と捜査官が投入されることになる。
検察は、この5年間で処理した不動産投機関連事件も再検討する方針だ。これを通じて関連犯罪情報を収集・分析し、追加捜査や処分変更が必要であれば、検事が直接捜査に乗り出す。刑事訴訟法の改正によって検察の直接捜査範囲は縮小したものの、警察送致後に不起訴処分になったが捜査が提起された事件や、関連する他の犯罪については、検事の直接捜査が可能となっている。最高検察庁は、捜査情報担当官室などを中心として、検察の捜査情報力を動員して投機関連情報を収集し、検事の直接捜査を支援したり警察に移牒したりする計画も明らかにした。
犯罪収益の剥奪および送致事件の迅速な処理も約束した。最高検察庁は「投機による犯罪収益は、借名財産の形で隠されている可能性が高い」とし、投機犯罪で得た利益は徹底的に剥奪するとしている。また、警察送致事件を検討して、6大重要犯罪は検事が直接捜査するという従来の方針も再確認した。
ただ、これに関しては、検察内部から不満の声も出ている。検察と警察の捜査権調整によって検察の捜査権が制限された中で、政府が検察に積極的な役割を注文することは矛盾だというのだ。このため、政府の指針に従って出された最高検察庁の措置も、捜査に現実的に役立つかどうかは未知数との指摘もある。首都圏地域のある検事長は「検察の直接捜査範囲が大幅に縮小された状況において専門捜査チームを作っても、実質的にどんな役割を果たせるのかは分からない」とし「投機事犯で全員を拘束しろという方針も、ひとまず容疑が明らかになってから裁判所に令状請求をするので現実性がないように思える」と指摘した。
一方、最高検察庁は31日にチョ・ナムグァン検察総長職務代行の主宰により全国検事長会議を開き、不動産投機根絶のための具体策を議論する予定だ。会議には最高検察庁の刑事部長と刑事1課長、全国18の地検長、および第3期新都市を管轄する首都圏の5つの支庁の長が出席する。