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韓国政府、「不動産投機根絶」宣言…土地規制を全面的に強化

登録:2021-03-30 06:51 修正:2021-03-30 07:43
2年未満の短期保有譲渡税率、20%引き上げ 
非事業用譲渡税重課税率、20ポイントに引き上げ 
金融圏の非住宅融資にLTV規制を新設 
160万人の公職者、家族含め財産登録 
遡及回収や借名財産の摘発方法などは疑問
チョン・セギュン首相(左)が今月29日、反腐敗政策協議会の結果のブリーフィングのため、ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官ら長官と共に政府ソウル庁舎の会見室に移動している。出席者たちは皆「不動産腐敗清算」と書かれたマスクを着用している/聯合ニュース

 韓国政府は29日、不動産投機根絶のため、全公職者の財産登録をはじめ、短期保有した土地の譲渡所得税の強化、土地取得時の資金調達計画書の提出、不当利得の3~5倍の回収など、各種対策を一斉に打ち出した。政府の強力な意志を示したものだが、遡及立法の適用が可能かどうかをはじめ、立法課題も多く、実際の実行までは一部難関も予想される。

 政府は予防・摘発・処罰・回収など4領域に分け、計20件の細部対策を発表した。予防対策として、譲渡所得税率を1年未満の保有土地は50%から70%に、2年未満は40%から60%に引き上げることにした。政府は所得税法・法人税法施行令を改正し、来年1月から施行する計画だ。非事業用土地の場合、譲渡税重課税率を10ポイントから20ポイントに引き上げ、長期保有特別控除(最大30%)の適用も除外することにした。

 これと共に、全ての公職者に財産登録を義務化する計画だ。不動産関連業務をする公務員と公共機関の従事者は人事革新処に、他の公職者は所属機関に財産を登録しなければならない。人事処には現在、4級以上の公務員と公共機関の役員など23万人が登録しているが、今後は登録対象が30万人にのぼる見通しだ。ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は「本人だけでなく直系尊属や直系卑属も該当する」とし、「今年は不動産だけで、金融情報はシステム構築後に実施する」と明らかにした。

 政府はまた、1000平方メートル以上または5億ウォン(約4800万円)以上の土地を購入する場合、「資金調達計画書」の提出を義務付ける計画だ。親戚などを通じた借名取引を防ぐためだ。家計の非住宅担保融資については、全金融圏で住宅担保融資比率(LTV)規制を新設し、投機が疑われる土地担保融資は、銀行などの金融機関に不動産取引分析院(新設予定)への通知を義務付ける予定だ。

 摘発対策としては、不動産市場を常時モニタリングできる「不動産取引分析院」を迅速に発足する案を示した。4月に20~30人で構成される「不動産取引分析企画団」を立ち上げ、不動産取引申告法を改正して分析院を新設する。不動産撹乱(かくらん)行為を申告した場合に与えられる褒賞金も、現行の最大1千万ウォン(約97万円)から最大10億ウォンまで拡大することにした。処罰と回収対策としては、非公開、内部情報の不当利用行為▽相場操作行為▽虚偽の契約申告▽違法な転売および不当契約行為など不動産市場の4大撹乱行為に対する刑事処罰を強化する案が含まれている。4大撹乱行為者に対しては、不当利得額に比例して最大5倍まで加重処罰し、関連機関への就職を制限することにした。分譲権を違法に転売した場合、故意の買収者まで処罰し、今後10年間、請約当選の機会も剥奪される。投機目的の農地取得については、現行の農地法規定によって処分するものとし、これを履行しない場合は履行強制金を売却時まで毎年賦課する計画だ。

 これについて江原大学のチョン・ジュンホ教授(不動産学)は「土地市場に対する政府の監督が緩かった」とし、「不動産取引分析院を通じて土地担保融資や資金調達計画書の提出の義務化などモニタリングを強化したのは、遅まきながらも必要だ」と述べた。政府の強い意志にもかかわらず、不当利得の遡及回収や借名取引の摘発などの実現可能性について、疑問の声もあがっている。経済部処のある公務員は「過去の不正行為を、現行法を改正して適用するのが法律上可能なのか、疑問だ」とし、「すべての公職者の財産を公開するというが、知人を通じた(借名取引)などは摘発するのが難しいだろう」と述べた。これに対しホン副首相は「腐敗防止法など現行法でも没収・追徴できる。関連法を改正し、憲法に背馳しない範囲で不当利得を回収できるようにする」とし、「借名取引も筆地中心、土地中心に調査を並行する計画」と述べた。

イ・ジョンフン、イ・ギョンミ、チン・ミョンソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/988719.html韓国語原文入力:2021-03-30 02:43
訳H.J

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