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ココナッツミルク、首輪をつけられた「サルの労働搾取」の産物?

登録:2021-03-06 08:05 修正:2021-03-06 12:21
[アニマルピープル] 
動物の権利活動家、タイ大使館前でサル労働のパフォーマンス 
「動物虐待が議論されているココナッツミルク、韓国のスーパーでも販売中」
5日午後、ソウル龍山区の駐韓タイ大使館前で、ある動物の権利活動家がサルの着ぐるみを着てココナッツを捨てるパフォーマンスを行なっている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 5日昼12時、ソウル龍山区(ヨンサング)漢南洞(ハンナムドン)にある駐韓タイ大使館の正門前の歩道に、熱帯の果物であるココナッツが大量に捨てられた。首にチェーンをまいたサルの服装の人が手押し車に満載のココナッツを載せてきて投げつけたのだ。丸いココナッツが歩道に沿って遠くまでころがっていくと、通行人は注目した。

 タイ大使館にココナッツを捨てるパフォーマンスを行ったのは、米国の動物権利団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会」(PETA)を支持する人々で、韓国国内で個人で活動中の動物の権利活動家たちだ。彼らは「タイ大使にタイのココナッツ産業がサルの労働を搾取していることを知らせるメッセージを伝達し、警戒心を呼び起こすために企画した」と明らかにした。

 昨年7月、PETAはタイのココナッツ農場に潜入し撮影した映像を公開し、全世界にココナッツ農場のサルの労働搾取の現実を知らせた。PETAは、タイのココナッツ農場8カ所、サルにココナッツを摘む技術を教えるサル学校4カ所、そして、ココナッツ収獲のコンテストに潜入した。

 ココナッツの収獲に動員されるサルは通常はブタオザル(pig-tailed macaque)で、幼い頃にいわゆるサル学校で訓練を受ける。初めは長くはない竿に縛りつけたココナッツを取る練習をさせ、徐々に高さを上げる方式だ。

 3~5カ月の授業を終えたサルは農場に投入され、1日中ココナッツを収獲するようになる。サルは1日に平均1000個ほどのココナッツを摘む。これは、人間が1日に収穫する量(約80個)とは比較にならないほど高い生産性を示し、「ココナッツマシーン」と呼ばれるほどだ。

タイのあるココナッツ農場で、首輪でつながれたブタオザルがココナッツを摘むためにヤシの木を登っている=ゲッティ・イメージバンク提供//ハンギョレ新聞社
サル学校でヤシを取る訓練を受けている子ザル=クリエイティブ・コモンズ//ハンギョレ新聞社

 問題は、このような労働が強制労働に近いという事実だ。PETAが公開した映像では、サルは短い首輪でつながれたまま一日中木に登りココナッツを摘み、ココナッツを収穫しない場合は、狭い鉄の檻に閉じ込められたり首輪でつながれていた。短い紐でつながれたサルが深刻な異常行動を示したり、鉄の檻に閉じ込められ苦しんでいるかのように鉄格子を揺さぶるなどの姿が捉えられた。

 そのような姿が公開されると、米国と英国のスーパーマーケットチェーンは続々と、サルが摘んだココナッツで作られたココナッツミルク製品の販売中止を宣言した。英国のボリス・ジョンソン首相の婚約者であるキャリー・シモンズ氏もツイッターに歓迎の意向を示すなど、ココナッツミルク不買運動は強い関心を集めた。

 当時、PETAが不売対象の業者として目をつけた企業は、タイのココナッツミルク業者のチャオコ(Chaokoh)とアロイディ(Aroy-D)だった。彼らの暴露の後、英国の大型のドラッグストアチェーンのブーツ、スーパーマーケットチェーンのウエイトローズ、コープ、オカド、モリソンなど多数の流通業者が参加した。

5日午後、ソウル龍山区の駐韓タイ大使館前で、ある動物の権利活動家がサルの着ぐるみを着てココナッツを捨てるパフォーマンスを行なっている=キム・ボンギュ先任記者

 韓国の場合は、今なおチャオコとアロイディがインターネットやスーパーマーケットで販売されているのが実情だ。この日にパフォーマンスを企画した活動家のキム・ヨンファ氏とシン・ジョンソク氏は「サルの奴隷労働を通じて得たココナッツを拒否するという意味で、ココナッツを投げつけた。昨年、全世界的な不売の動きにもかかわらず韓国のスーパーマーケットのロッテマートやイーマートなどの売場では、相変わらずチャオコのココナッツミルクが販売されている」と伝えた。

 彼らは「PETAアジア支部は、昨年から駐韓タイ大使館に書簡などを通じて、サルの労働搾取によるココナッツの不売を国内業者にも伝えるよう要請したが、現在まで返答がないと認識している。最近はベジタリアン人口の増加で消費が伸びたココナッツミルクの裏側にこのように残酷な動物搾取が潜んでいるということを知らせるために出てきた」と付け加えた。

 一方、この日のパフォーマンスに使われたココナッツは、人道的な方法で選別されたベトナム産のココナッツが使われた。市中に出回っているココナッツミルクの全てが“サル労働者”が生産したものなのかについての正確な統計はない。ただし、タイ、インドネシア、マレーシアのココナッツ農場では、現在でもココナッツの収獲にサルが動員されている。

キム・ジスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/human_animal/985601.html韓国語原文入力:2021-03-05 17:58
訳M.S

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