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保護犬をファースト・ドッグに

登録:2017-04-26 04:01 修正:2017-04-30 07:14
ハンギョレと動物3団体の「ファースト・ドッグ」キャンペーン  
 
大統領選候補らに、保護犬をペットにすることを提案 
実現すれば世界初の事例として記録される見込み 
 
大統領イメージ作りのためではなく 
生命の尊重・動物保護の象徴的意味大きい
動物権利団体「ケア」が黒い犬に対する偏見をなくすため、大統領選挙候補らに提案した「トリ」=ケア提供//ハンギョレ新聞社

 保護犬が大統領府で暮らすことになったらどうだろうか?

 国内主要動物団体がハンギョレと共同で、大統領選挙候補らに保護犬をペットにすることを要請するキャンペーンが、24日から始まった。大統領府で暮らし、マスコミのスポットライトを受けるペット「ファースト・ドッグ」(first dog)として、保護犬を迎え入れようということだ。

 ファースト・ドッグは「ファーストレディー」に喩え、大統領の家族と共に暮らす犬を指す言葉だ。米国ではバラク・オバマ大統領の「ボー」と「サニー」、ビル・クリントン大統領の「バディ」が有名だ。フランクリン・ルーズベルト大統領のファースト・ドッグ「ファラ」は事後に大統領の墓近くに埋められ、ワシントンDCの記念館に(大統領と)共に銅像が建てられているほどだ。

 一方、韓国のファースト・ドッグは大統領にプレゼントとして贈られたものの、大統領の退任後は動物園や種犬場に送られる“不幸な”運命をたどってきた。北朝鮮から送られた豊山犬は金大中(キム・デジュン)元大統領の退任後、ソウル動物園に移されており、李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の一部の珍島犬は、血統保存団体の種犬場に送られ、集団飼育された。

 動物権利団体「ケア」のパク・ソヨン代表は「大統領のイメージ作りではなく、大統領の家族として面倒を見てほしいと要請したい」とし、「他の飼い主選び同様、厳格な事前審査と事後モニタリングを前提にして進める」と話した。動物団体は、大統領選挙候補らが直接捨て犬保護センターを訪問し、「ファースト・ドッグ候補犬」に会って互いに親しむ機会を提供する予定だ。

 新大統領が保護犬をファースト・ドッグとして迎え入れれば、動物保護の象徴的処置になる。米国の場合、2008年に動物団体の「ヒューメインソサエティ」がオバマ大統領に保護犬ををペットにすることを勧めたが、実現しなかった。今回の提案を受け入れた大統領選候補が大統領になれば、世界で初めてのことになる。

 同日、国内主要動物団体3つはそれぞれ「ファースト・ドッグ候補」を提案した。ケアは黒い犬に対する偏見を変えるため「トリ」を推薦しており、「動物自由連帯」は世代間の認識差が大きな犬の肉問題を喚起しようと「ポクナム」を、動物保護団体「カラ」は動物虐待を狭く定義している動物保護法の改正を促すため、「後ろ足」をファースト・ドッグにしてほしいと要請した。関心のある読者はポータルサイト「ダウム」のストーリー・ファンディング「大韓民国の保護犬をファースト・ドッグに」で、キャンペーンに参加できる。ハンギョレと動物団体は、候補たちに大統領府に保護犬をペットにする案を検討してほしいという要請書を送る予定だ。

■決して怖くない黒い犬「トリ」

 ケアは2年前に保護された黒い犬の「トリ」を推薦した。ケア側は「里親探しセンターに入所してから2年が経ったが、まだ新しい飼い主を待っている。ほかの犬たちは新しい家族に迎え入れられたのに、トリだけが残された」と話した。トリは全身が黒い毛で覆われた、いわゆる“不細工な”犬だ。保護犬のペットにしようとする人たちが純白に黒い目、ふさふさの毛並みと黒い鼻を持つ“かわいい犬”を好むからだ。ケアは「かつて人種差別があったように、犬に対する我々の視線も同じ」だとし、「米国の写真作家のフレッド・レヴィ氏はこのような偏見をなくすため、黒い背景に黒い犬の写真を撮る『黒い犬プロジェクト』(Black Dogs Project)を行った」と説明した。

 トリが死の危険を免れたのは2015年の夏だった。京畿道南楊州(ナムヤンジュ)の廃家で60センチ足らずのリードに繋がれていた。空き家に数匹の犬が住んでおり、あるおじいさんの虐待で一匹ずつ死んでいった。ケアの活動家たちは犬の所有権を放棄するよう彼を説得し、黒い犬を救助した。治療を受けて里親探しセンターできれいにしたら、“クリの実”(韓国語で小さくかわいいものを喩える言葉:バムトル)のようにかわいらしく、「トリ」と名前が付けられた。パク・ソヨン代表は「黒は他の色を一層引き立たせる。大統領が個人の幸せではなく、国民の幸せのために存在するように。黒い犬トリをニュースを通じて、全国民が見られる日が来ることを期待している」と話した。

動物自由連帯がファースト・ドッグとして迎え入れることを要請した珍島犬ミックスの「ポクナム」。金槌で頭を殴られたが、治療を受けて回復した=動物自由連帯提供//ハンギョレ新聞社

■死の淵から蘇った「ポクナム」

 動物自由連帯は珍島犬ミックスの「ポクナム」を推薦した。2011年の春、ソウルのある高齢者会館で妹の「ポクヒ」とともに暮らしていた。特に世話をする人はいなかったが、会館を訪れるお年寄りに尻尾を振っていた4歳の雄だった。しかしある日、酒のつまみにポクナムを食べようとしたお年寄りたちによって、ハンマーで頭と体を殴られた。残酷な光景を見かねた隣の建物の幼稚園教師が通報し、救助された際、ポクナムは右の頭蓋骨と眼球は陥没した状態だった。

 珍島犬は、伴侶動物(ペット)として最も多く飼われる一方、最も多く食用とされる犬だ。ポクナム事件は世代による見解の相違を如実に表している。若年層にとっては動物虐待である行動が、一部の老年層によって人目を憚ることなく行われているのだ。動物自由連帯のチョ・ヒギョン代表は「自分が飼っていった犬を食べてもいいという慣習的な考えがいまだ残っているため、このようなことが堂々と行われる」とし、「世代が変わるにつれ、食用犬問題や動物虐待行為は次第に減っていくだろうが、政府は犬を食べる問題をどう解決するかについて、段階的な案を検討しなければならない」と指摘した。

長い期間放置されるうちに後足を噛む自傷行為を繰り返し、動物保護団体カラによって救助された「後ろ足」。救助直後の姿=カラ提供//ハンギョレ新聞社

■自分の後ろ足をかむ「後ろ足」

 動物保護団体カラは「後ろ足」をファースト・ドック候補に挙げた。昨年京畿道龍仁(ヨンイン)で救助されたこの犬は、後ろ足が血まみれであるにもかかわらず、保護者によって放置されていた。カラが救助し、手術を行って傷口を縫合したが、「後ろ足」は自分の後ろ足を噛む自傷行為を止めなかった。カラの関係者は「血を流す姿におじいさん(保護者)が関心を示すのを見て、愛されるために繰り返してきたようだ」と話した。カラに保護された「後ろ足」は薬物治療とともに散歩などの“心”の治療を受け、自傷性向も大きく改善した。カラのチョン・ジンギョン理事は「一生首輪につながれ一坪の空間に放置される犬が多いが、そのような行為が犬の心を傷つける動物虐待という認識はあまりない」とし、「動物保護法上『放置』を動物虐待と規定し、罰金の賦課などを通じて、蔓延している動物虐待を減らしていかなければならない」と強調した。

ナム・ジョンヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/792017.html 韓国語原文入力:2017-04-24 22:12
訳H.J(3208字)

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