日本軍「慰安婦」被害者イ・ヨンスさんが外交部を訪れ「菅義偉首相を説得して(慰安婦問題について)国際司法裁判所(ICJ)の判断が受けられるようにしてほしい」と要求した。チョン・ウィヨン外交部長官は「慎重によく検討する」との原則論的な回答を述べるにとどまった。
イ・ヨンスさんは3日午後、ソウルの外交部庁舎でチョン長官と面会した。その後、記者団に対し、「私にはもう時間がない。金学順(キム・ハクスン)さんが(1991年8月の初の記者会見で慰安婦運動を)始め、イ・ヨンスが最後をやらねばならない」「菅首相を説得して国際司法裁判所で判決を得られるよう、長官のところに行って申し上げた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領に必ず会わせてほしい」と述べた。
これに対しチョン長官は、「これまでのイ・ヨンスさんの活動を高く評価する」としつつも、「国際司法裁判所への付託については、簡単な問題ではないため、かなり悩んでいる。慎重に検討する」と答えた。するとイさんは、日本に要求するのは「金ではなく謝罪だ」とし、「謝罪を受ければ許すことができる。日本は隣国だから学生たちとは交流するつもり。日本と交流し、親しくなれるように歴史観と教育観を確立したい」という平素の持論に改めて言及した。
日本政府は2015年末の慰安婦合意を通じて「軍の関与」を認めつつも「国の責任を痛感する」との考えを明らかにしたのみで、慰安婦問題のことを国が犯した「犯罪」であるとは認めていない。イさんの国際司法裁判所への付託論は、韓日両国政府がともにこの問題を国際法廷に持ち込み、慰安婦問題が日本の「国家犯罪」であることを明確に認めてもらうことで、韓日の歴史対立を終わらせようとの趣旨だ。しかし、この過程で1965年の韓日請求権協定や2015年の慰安婦合意などが障害となり、思いがけない結果が出る可能性もある。イさんは2月16日の記者会見で、国際司法裁判所付託論を初めて主張している。
正義記憶連帯などは慎重な立場を取っている。慰安婦問題については、日本の国家犯罪であるとの国際的合意がすでに存在するため、あえて再び確認を受ける必要はないということだ。また、日本が独島などの他の問題にまで争点を拡大する可能性が高いとし、政府に「慎重な対応」を求めている。