ノーベル経済学賞を受賞した米国の2人の経済学者が、ゲーム理論に言及しつつ、日本軍「慰安婦」のことを売春婦だと主張したハーバード・ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授を批判する共同声明を発表した。
スタンフォード大学のポール・ミルグロム教授とハーバード大学のアルヴィン・ロス教授は28日(現地時間)、声明を発表し、「ゲーム理論によってラムザイヤー教授の主張を合理化することはできない」と指摘した。両教授はラムザイヤー教授の論文について意見を交わしたことを紹介しつつ、「ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の否定が連想された。非常に苦しかった」と述べた。彼らは「日本軍『慰安婦』被害者についてのラムザイヤー教授の歴史的な解釈が正当かどうかは、証拠によって判断されるだろう」とし、「単純なゲーム理論モデルによって証拠が変わるわけではない」と強調した。
ミルグロム教授は、オークションやインセンティブの理論、産業経済学、経済史、ゲーム理論など、経済学の様々な分野で第一人者として認められている学者だ。オークション市場の特性と人々の行動様式を研究するオークション理論で、昨年ノーベル経済学賞を共同受賞した。ロス教授もゲーム理論と市場設計分野の研究で2012年にノーベル経済学賞を共同受賞している。
法学を専攻したラムザイヤー教授は、物議を醸す論文「太平洋戦争における性サービスの契約」で、経済学のゲーム理論を用いて日本軍「慰安婦」の契約を合理化している。戦場における売春という職業の危険性や名誉に傷がつく可能性などを考慮して、女性たちは大規模な前払い金を要求し、これによって成立した合理的な契約だったという主張だ。しかし、ゲーム理論の学者でさえ問題を提起したことで、論文の論理的弱点がさらに浮き彫りになると見られる。
米国スタンフォード大学のロジャー・ノル経済学名誉教授も27日、個人声明を発表し、ラムザイヤー教授の論文を掲載する予定の国際学術誌『インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス(IRLE)』を強く批判した。ノル教授は「この学術誌に論文を2編掲載した者としては非常に悲しく、驚愕している」とし「このジャーナルに論文を掲載した私の過去の決定を今、後悔している」と述べた。