韓国政府が新型コロナウイルスの予防接種をする時、ワクチン1瓶(バイアル)当たり1~2人に追加で接種できることにした。韓国企業が開発した特殊注射器を使えば、廃棄されるワクチンの量が減り、残量を接種することが可能になるためだ。
新型コロナ予防接種対応推進団(推進団)は27日、ブリーフィングでこうした内容のワクチン残余量処理方針に関する公文書を全国の療養病院と保健所など接種を進めている現場に送った。最小残余型注射器(Low Dead Space・LDS)を使えば、ワクチン1瓶当たりの接種勧告人数に合わせて接種した後にも追加で接種できる程にワクチンが残るが、その場合に残ったワクチンを廃棄することなく追加で接種できるようにしたのだ。現在、韓国国内で接種に使われているアストラゼネカとファイザーのワクチンは、一般注射器を使えば1瓶当たりそれぞれ10人と5人に接種できる。だが、最小残余型注射器を使えば、アストラゼネカワクチンは11~12人に、ファイザーワクチンは6~7人に接種することが可能になる。
最小残余型注射器は、ピストンと針の間の空間をほとんどなくした特殊注射器だ。一般的な注射器ではこの空間に残る残留体積の基準規格が0.07ml以下だが、最小残余型注射器では0.035ml以下だ。そのため捨てられる量を半分以下に減らすことができる。現在韓国国内では、ドゥウォンメディテック・新亜洋行・プンリムファーマテックが作った最小残余型注射器がワクチン接種に使われている。
推進団のチョン・ギョンシル予防接種管理班長は「一般的に1瓶の容量には接種過程で発生しうる損失分を考慮して余裕分が一定量含まれている」とし、「アストラゼネカのワクチンの場合には1瓶当たり5mlが原則だが、少量を追加して5ml+アルファが入っているので、最小残余型注射器を使った時には残余量が増えることになる」と説明した。ファイザーのワクチンは1瓶に入っている薬品0.45mlを生理食塩水1.8mlと混ぜて2.25mlにした後に接種する。1回当りの接種量は0.3mlだ。
ただしチョン班長は、残余量の接種自体が義務ではないことと、複数の瓶から残ったワクチン残余量を集めて接種することは禁止すると強調した。政府は、使う注射器の種類と看護師の熟練度などにより残量に差が生じうるので、ワクチン標準接種法は変更しない計画だ。
専門家の反応は憂慮と期待が交錯した。嘉泉大吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は、「決まった分注(注射器別に小分しけする)回数以上に分注することは汚染の可能性を高めかねない」として「多数回接種することも重要だが、安全に行うことも重要だ」と話した。一方、国立がんセンターのキ・モラン教授(予防医学)は「今は一滴でも惜しい状況」だとし「アルコール綿で瓶を拭いてクリーンベンチ(無菌作業台)で分注作業をするので心配はさほど必要ない」と話した。
最小残余型注射器により得られた物量をワクチン開発会社がどう解釈するかがカギという指摘もある。高麗大安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は、「ワクチンはドース(1回分)単位で契約するので、追加された1~2回分についてワクチンメーカーが「これも自分たちが供給した物量」と主張する可能性があるのが懸念だ」と話した。