こんにちは。気候変動チームのチェ・ウリです。天気や環境、エネルギーをテーマに記事を書いていますが、今回は気候変動ではない別の話をすることになりました。
20年以上の経歴を持つ童話作家、ハン・イェチャン氏(53)が、自分の教え子である10代の児童に対する強制わいせつ容疑で、2018年7月に起訴されました。その後もハン氏は20冊以上の本を出版しており、昨年12月、一審裁判部は同氏に懲役2年6カ月の実刑を言い渡し、法廷拘束しました。
取材は2018年下半期から始めました。100冊近くの児童小説を書いてきたハン氏が児童への強制わいせつの疑いで起訴され、裁判を受けているという事実だけでも衝撃でした。私の周りでも多くの親たちや子供たちが、彼の書いた「ソヨンちゃんシリーズ」や童謡「子リスのトミ」を知っていました。京畿道水原市(スウォンシ)の広橋(クァンギョ)新庁舎に移転する前の水原地裁刑事法廷で、ハン氏に初めて会った記憶があります。その時、ハン氏は弁護人を通じて、自分は無罪であり、記事を書けば新聞社と記者を名誉毀損で告訴すると言いました。
急いで記事を書いたからといって被害児童の苦しみが簡単に回復するわけではないと思い、一審の判決を待つことにしました。裁判を通じて事実関係を争う機会は被告人の権利でもありますから。ハン氏は児童と親しい関係にあったと強調し、無罪を主張しました。記事にはすべて書けませんでしたが、被害児童と家族はハン氏の主張に反論するために、公判のたびに苦痛を感じながら反論の根拠を集め、争わなければなりませんでした。裁判の過程を取材する間ずっと気が重いばかりでした。ハン氏は控訴し、依然として自分の無罪を主張していると聞きました。
一審の結果、実刑が言い渡されたが、誰も喜ぶことができませんでした。ハン氏は裁判中にも、コロナ禍で直接会うことができなくなってからも、子どもたちを教える仕事を続けてきたと、出版社を通じて聞きました。しかも判決から2カ月が過ぎても変化はありませんでした。このようなことが起きる前のように、ソウル市内の大型書店や図書館、ユーチューブなどで彼の本や歌を映像でや楽譜で簡単に見つけることができました。被害児童の家族は、ハン氏の日常は刑務所収容期間さえ終われば以前と変わらないだろうという不安で苦しんでいました。
記事が掲載されてから、変化が現れました。15日、ハンギョレがハン氏の一審判決の結果を報じると、大型書店と出版社はハン氏の本を返品・回収すると発表し、国立中央図書館や国立児童青少年図書館などの主要公共図書館が閲覧・貸し出しの中止を決めました。児童青少年本作家連帯の性平等委員会も「本は作家の考えと言葉と行動がそのまま表れているもの」だとし「加害者は作家として活動してはならない」という立場をまとめました。被害児童の家族は、これからも苦しい法廷争いを続けていかなければなりませんが、記事が出た後、被害児童の苦しみに共感する市民の支持に慰められたといいます。
どう対応すべきかを真剣に悩み、実行に移す動きもあります。ソウル城北文化財団所属の15カ所の城北区立図書館は17日、所蔵中のハン氏の本81冊を書庫に移動したとホームページに公示しました。報道を見た16人の司書たちが緊急会議を開き、「被害者が存在する事件において、公共図書館は社会的弱者の立場に共感しなければならない」ということで意見をまとめた結果です。ただし、確定判決ではないため、本を廃棄しないことにしたそうです。
取材過程で会った専門家たちは、作家の出版・表現の自由を侵害しない範囲内で被害児童の人権を保護する賢明な方法が必要だと口をそろえていいます。出版社は性犯罪の有罪が確定した著者の本を販売するのか、販売すると決めたなら、読者の知る権利はどのように保障すべきか考えなければならないでしょう。図書館はこのような著者の本をどのように閲覧・貸し出しするのかを悩んでいます。国会女性家族委員会委員長のチョン・チュンスク議員(共に民主党)は、関連法の改正論議を進める意向を示しました。ハンギョレはハン氏の確定判決の結果を必ず伝え、この事件が残した課題を一緒に考えていきます。記事が広まるだけで、もう一度心を痛めたであろう被害児童や家族だけでなく、ほかの被害者たちもいます。ハン氏と共に本を作り、曲を書いた挿絵作家と作曲家です。出版社はハン氏の送ってきた原稿に合わせて挿絵を描いた数十人の作家たちに、ハン氏の裁判結果を事前に知らせなかったそうです。人気童謡「子リスのトミ」を作曲したチョ・ウォンギョン氏は著作権被害を甘受してでも歌詞の変更を考慮しています。