朝鮮労働党第8回大会(以下「大会」)期間中に北朝鮮と中国の緊密なコミュニケーションが図られている。
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が総書記に推戴されたことと関連し、習近平中国共産党総書記兼国家主席が11日に祝電を送っており、労働党中央委員会機関紙「労働新聞」は習主席の祝電全文を12日付2面トップで大きく報道した。さらに、中国共産党中央委員会が大会の開幕に合わせて送った祝電に対する大会名義の答電全文も同紙2面に掲載された。これに先立ち、「労働新聞」は中国共産党中央委の祝電全文を6日付5面全体に載せた。
大会は答電で「(朝鮮)労働党の全体党員は朝中親善を強化・発展させていくため、あらゆる努力を尽くす」と明らかにした。習主席も金総書記宛てに送った祝電で「中朝関係を立派に守護し、発展させていくのは、中国共産党と政府の確固不動の方針だ」と述べた。
「中国共産党中央委の祝電→大会名義の答電(11日採択)→習主席の祝電(11日)」の流れからすると、一見中国側が積極的なようにも見える。しかし、北朝鮮側の反応も熱い。何より金正恩総書記が朝中関係に特に重点を置いているのは、今月5~7日の3日間にわたる「労働党第7期中央委事業総和報告」からも確認できる。
金総書記は、対外関係の総和過程で朝中関係を真先に言及しただけではなく、報告内容も最も長かった。彼は「長い歴史的ルーツを持つ特別な朝中関係の発展に先次的な力を入れ、朝中親善関係の新しいページを開いた」と評価した。「歴史的ルーツ」や「特殊な関係」といった表現は、「伝統的な朝ロ関係」というロシアとの関係の描写に比べると、その重みが一層はっきりする。金総書記は「中国→ロシア→キューバ+ベトナム→米国」の順で対外関係を総和したが、言及の比重(「労働新聞」9日付の報道基準)は「中国(249字)→米国(194字)→ロシア(78字)→キューバ+ベトナム(104字)」の順だった。
朝中関係には特別なものがある。北朝鮮にとって中国は米国に対抗して一緒に戦った「血盟」であり、対外貿易の98%を占める「唯一無二の外部生命線」だ。中国にとって北朝鮮は北東アジアの対米戦線の緩衝地帯だ。朝中関係について、金総書記は「同じ釜の飯を食うもの同士であり、同じ参謀部」と言及しており、習主席も「運命共同体、唇歯(輔車)の関係」(2018年5月の首脳会談)だと述べた。特に習主席は中国が「朝鮮同志の頼もしい後方であると共に、堅い友情で結ばれた同志であり、友」(2019年1月の首脳会談)だと強調した。
習主席は祝典で「世界が混乱と変革の時期に入った情勢」だと述べた。米中の戦略的競争と対立の激化を念頭に置いた情勢認識だ。習主席はジョー・バイデン大統領の就任後も米中の対立が続くとみて、内需中心の「双循環」(国内外の循環)経済戦略を打ち出した。金総書記も2018年以来、対米接近戦略が壁にぶつかっており、「強いられた自力更生」の道を歩みながら活路を模索している。米中の対立がこれからも持続し、さらに激化していけば、習主席の「双循環」戦略と金総書記の「自力更生、正面突破戦(略)」が手を結ぶ余地はさらに大きくなる。「労働新聞」11日付に公開された主要幹部の人事で「中国通」のキム・ソンナム労働党国際部長が任命されたことに注目する必要がある。
韓国政府の元高官は「米中の対立の激化が朝中関係の強化と制裁弛緩につながり、核問題の解決を含む朝鮮半島平和プロセスに難関をもたらす可能性もある」と指摘した。別の元高官は「金総書記はできるだけ中国に頼り切りの状況は避けたいと思っている。韓米が代案的な経路を積極的に提示しなければならない」と述べた。