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今年の朝中貿易90%減…北朝鮮、制裁とコロナ禍で「経済危機」が深刻

登録:2020-06-19 03:41 修正:2020-06-19 08:33
1~5月の輸入・輸出、ほぼゼロ水準…朝中貿易「崩壊」 
専門家「北朝鮮制裁にコロナ封鎖で前例のない危機」
朝鮮中央テレビが17日に公開した開城の南北共同連絡事務所の爆破シーン。映像には、爆発音とともに連絡事務所が灰色の埃の中に姿を消し、すぐ横の15階建ての開城工団総合支援センターの全面ガラスが粉々になる様子が映っている//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態発生後の朝中国境封鎖などにより、今年1~5月の北朝鮮の中国に対する輸出と輸入がほぼゼロになっていることが明らかとなった。北朝鮮に対する経済制裁が本格化した2017年以降、朝中貿易がほぼ崩壊状態となっていた上、コロナ禍まで重なる二重の複合危機に見舞われ、北朝鮮経済は経済活動に必要な必需物資の輸入が途絶えるなど、麻痺の危機に陥っているという分析が出ている。今回の開城工団南北共同連絡事務所の爆破の背景として、北朝鮮に対する制裁の緩和に向けた圧力や北朝鮮の経済危機が言及されていることと関連して注目される。

 18日に韓国貿易協会と中国海関(関税庁)の資料によると、北朝鮮製品の中国市場への輸出額は、今年1~2月に1070万ドル(前年同期比-71.7%)、3月に60万ドル(-96.2%)、4月に220万ドル(-90.0%)と大幅に減少している。すでに北朝鮮の対中国年間輸出額は2016年の26億3440万ドルから、経済制裁が本格化した2017年には16億5070万ドル(-37.3%)まで減少。2018年には1億9460万ドル(-88.2%)、2019年には2億850万ドルに減少し、2016年に比べて10分の1以下となっている。2017年以降、輸出が年々大幅に減少していたのに続き、今年に入って国境封鎖により完全に遮断されたかたちだ。ハンギョレが韓国国内の複数の北朝鮮経済専門家に聞いたところ、今年5月の対中国輸出はほぼゼロ水準を記録したことが分かった。

 北朝鮮経済の全体的な活動や運営と関連し、さらに状況が悪いのは輸入のほうだ。北朝鮮の中国製品(原材料、エネルギー、食糧など)の輸入額は、2016年の31億9200万ドルから、対北朝鮮制裁発動後の2017~2019年には22億1710万ドル~33億2800万ドルと、輸出の急減に比べれば相対的に堅調だった。事実、対北朝鮮制裁が主に北朝鮮当局のドル確保の遮断に集中するなど、輸出制裁を狙っているため、民生経済と密接な関連のある商業的輸入は、原油をはじめいくつかの製品を除いては、強力な制裁の対象から外れている。ところが、コロナ禍が発生した今年は急転。今年に入り、中国製品の輸入額は1~2月(1億9720万ドル)で前年同期比-23.2%を記録したのに続き、3月には1800万ドル(-90.8%)、4月には2180万ドル(-90.0%)を記録した。対中国輸出入総額は2019年に28億ドルと、2016年(58億ドル)の半分以下に減少している。

 韓国開発研究院、韓国銀行、産業研究院などの北朝鮮経済専門家は、経済制裁に新型コロナが重なったことで、北朝鮮経済が前例のない危機に陥っていると分析する。韓国開発研究院のイ・ソク先任研究委員は、最近発行の「北朝鮮経済レビュー」5月号で、「2017年以降、経済制裁の影響で朝中貿易額はすでに急激に落ち込んでいる状態にあるうえ、今年に入って新型コロナによる国境封鎖で事実上両国の貿易はほぼ完全に遮断されている。特に北朝鮮の経済運営に必要な各種物資の輸入が遮断されていることに注目しなければならない」と指摘した。今年3月の北朝鮮の中国産製品の輸入上位5品目をみると、食用油、小麦粉、織物、タバコ、医薬品となっており、これら消費型製品の輸入額は前年同期比で-13.2%~-70.8%となっている。同研究院は「北朝鮮経済は経済運営に必要なほぼすべての基本物資を中国産の輸入に依存しているが、石油などのエネルギーから食糧、生産に必要な機械、原料、各種部品の輸入がほぼ途絶えている」とし、「対北朝鮮制裁と新型コロナのショックが同時に発生し、深刻な経済危機に直面している」と診断した。

 別の北朝鮮経済研究者も、「北朝鮮は中国から輸入する中間財製品がほとんど途絶えたことから、工場をまともに稼動できずにいるようだ。新型コロナで国境が封鎖されても必要な物資は持ち込むことができる。中国産製品を買い入れるための資金(ドル)が底をつき、物資を購入するのが難しいと考えられる」と述べた。ただ、「北朝鮮内部の公式メディアなどが、こうした状況について報道したり言及したりしたことはまだないため、現在の北朝鮮の経済状況がどの程度深刻なのかは下手に推測できない」と述べた。

 早ければ今年中に、北朝鮮はドル保有高の枯渇に直面することになり、通貨危機に見舞われる恐れも出ている。北朝鮮のドル(すべての外貨をドルに換算)の保有高は、「保有用」約30億ドル(2019年の北朝鮮の国内総生産は約300億ドル)に「市場取引用」10~20億ドルを合わせ、計40~50億ドルと推定される。ところが、保有用30億ドルが徐々に底をつき、年末には通貨危機に見舞われる可能性もあると見られる。ドル不足の不安が高まることで市場では外貨買い占めの兆しも出ており、コロナ禍でこの枯渇時期が繰り上がる可能性があるという予想もある。また、別の北朝鮮経済研究者は「北朝鮮は密貿易や海外への出稼ぎ、観光客誘致事業などでドルを稼いでいるが、対北朝鮮制裁と新型コロナによる国境封鎖でこれらがすべて塞がり、金が底をつきかけている」とし、「ドル不足の困難に直面したことを受け、北朝鮮当局は最近、住民のドル使用を取り締まる措置を取り、市中のドルを吸収する努力をしていると推定される」と語った。今年3~4月のレート(北朝鮮当局が告示する公式レートではなく実際の市場取引レート)が1ドル=9千ウォン台まで急騰し、北朝鮮当局が為替安定のために市場に介入したものと推定される。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/949959.html韓国語原文入力:2020-06-18 15:33
訳D.K

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