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「イラン大統領、文大統領に二度の親書…『70億ドル』明確な解決策を望む」

登録:2021-01-08 02:33 修正:2021-01-08 07:41
外交消息筋「チェ次官訪問、抑留船舶に良い影響」 
「国民の命がかかっている…10億ドル分の医療機器購入の意思」 
「イラン大統領、文大統領に親書を二度送ったが 
返事に実質的な処置なし…態度に不満」
イランのハサン・ロウハニ大統領//ハンギョレ新聞社

 イラン当局は、「韓国の外交訪問は必要ない」との公式見解とは異なり、チェ・ジョンゴン外交部第1次官の10日の訪問に大きな期待をかけていることが分かった。4日に起きた韓国船舶の拿捕は「海洋汚染に関する技術的な問題」だとしつつも、韓国に凍結されているイランの資産70億ドルの問題を解決しうる「明確な計画」が示されることを切実に望んでいるというのだ。

 韓国とイランの関係に詳しいある外交消息筋は6日、ハンギョレの取材に応じ「イランはチェ次官の今回の訪問には良い影響があるだろうと考えている。イランはチェ次官が凍結された原油資金の問題を解決しうる明確な計画とプログラムを示すことを望んでいる。イランは『自分たちの金を自分たちが使える具体的な計画』を望んでいる」と述べた。

「10億ドルで医療機器購入すると韓国に要請」

 イランは現在、韓国に「凍結資産のうち約10億ドルを薬品と医療機器の購入に使いたい」と要請しているという。3日、イランの現地メディア「テヘラン・タイムズ」は、韓-イラン商工会議所のホセイン・タンハイ会長などイラン関係者の話を引用し「韓国の銀行にある石油輸出凍結資金と新型コロナウイルスワクチンその他の物品を交換(barter)するよう交渉を進めることにした。韓国人がどれだけ協力する意思があるのか見守るつもり」と報じた。同紙は、イランが望む具体的な物品として、コロナワクチン、原材料、薬品、石油化学製品、自動車部品、家庭用電子製品などを列挙した。

「ワクチン購入に合意も、韓国のある銀行がスイスへの送金保証を拒否」

 韓国とイランは約1カ月前から、コロナワクチンの共同購入国際プロジェクト「COVAX(コバックス)ファシリティ」を通じて、韓国の2つの銀行に預けられているイランの原油代金70億ドルの一部でワクチン購入代金を支払う議論を進めてきた。両国がこの案に合意した後、韓国は米国財務省から制裁免除の承認を受けているが、両銀行のうちひとつが「米国の制裁のため、イランの資金がCOVAXファシリティの集金口座のあるスイスの銀行に送金されるかどうかは保証できない」との立場を崩さず、壁に突き当たっているという。この銀行は「ドルに変えるためには他の銀行を経なければならない」とし、米国のある銀行を紹介した。しかしイランは、イランの資金が米国の銀行に流れ込めば自動凍結されることを懸念し、これを受け入れていない。

 外交部当局者は5日、この問題について「米国財務省の特別承認を受け、我々は代金を支払おうとした。しかし、イランが送金過程で米国によってこの資金が差し押さえられることを懸念し、決定できなかった」との趣旨の説明を行っている。

サイード・バダムチ・シャベスタリ駐韓イラン大使が5日午後、ソウル鍾路区の外交部庁舎に到着し、エレベーターに乗っている/聯合ニュース

「イランでは6万人がコロナで死んだが、医薬品もない…文大統領、親書に答えたが具体的実践なし」

 イランはこの2年半の間、韓国が同問題の解決に一貫して消極的な態度を取ってきたとし、失望を示しているという。上述の消息筋は「この2年半の間、韓国外交には残念な点が多い。6万人のイラン国民がコロナで死に、医薬品がない。イランのハサン・ロウハニ大統領は文在寅(ムン・ジェイン)大統領に親書を二度も送った。韓国政府はその度に返事はしたものの、適切な措置、実質的な措置がない。石油の代金70億ドルに、(イランの)メラット銀行が韓国銀行に支払い準備金として預けた金まで合わせると、(韓国にあるイランの金は)90億ドルを超える。イラン国民の命のかかった金だ」と述べた。

 イランは、米国による経済制裁とコロナによって困難な状況にあるが、このように巨額の原油代金が韓国の銀行に凍結されているという問題を2年以上解決していない韓国に対しては、重ねて解決を求めてきた。「イランは非常に遺憾に思っているし、捨てられたように感じるとも言う。とても良好だった関係がこうした状況のせいで悪化したと言う」とこの消息筋は述べた。

「船舶の拿捕は純然たる技術的問題…金目当てに拿捕したのではない」と主張

 しかし同氏は、4日のイラン革命防衛隊海軍(IRGCN)による韓国の化学物質運搬船「韓国ケミ号」(1万7426トン)の拿捕については、純然たる技術的問題だというイランの立場を重ねて代弁した。同氏は「船舶のバランスを取るために水を抜く過程があるが、大きな海では問題ないものの、ペルシア湾は特別な海域であるため、環境問題が深刻だ。違反事項があれば罰金を科し、問題がないことが明らかとなれば航海に対する補償もありうる。この問題を凍結資金の回収と結びつけるのは過度な解釈」とのイランの立場を伝えた。実際にイラン外務省は、この問題はバンダレ・アッバース市政府が調査している技術的な事案であることから、「政治的妥協」は模索しないという立場を示している。この消息筋は、イランが金を受け取るために韓国の船舶を拿捕したという一部の韓国メディアの報道についても、「話をそんなに単純に書くことそのものが、イランにとってはとても不快で屈辱的。韓国がイランに非友好的な姿勢を示した時も我慢していたが、関係が改善され、(ドナルド)トランプ政権が終わりに近づいている今、なぜイランがまずい手を打つのか」との見解を示した。

パク・ミンヒ、キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/977685.html韓国語原文入力:2021-01-07 09:29
訳D.K

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