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守れなかった1歳4カ月の命…養子児童虐待死「#ジョンインちゃんごめんね」拡散

登録:2021-01-05 09:39 修正:2021-01-05 12:56
虐待で死亡した養子に追悼の波 
 
オンラインで「#ジョンインごめんね」チャレンジ 
手書きなどの掲示物、数万件に 
政界・芸能界からも参加 
文大統領「養子の事後管理を強化する」 
養親の裁判に厳罰を求める陳情書や 
嘆願書が数百件殺到
「ジョンインちゃんごめんね」「私たちが変える」ハッシュタグ(#)とともにSNSにアップされたジョインちゃんの追悼文=インスタグラムよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 4日、京畿道楊平郡(ヤンピョングン)のハイファミリーアンデルセン公園墓地のある墓所には飴や菓子、おもちゃが山のように積まれていた。たくさんの菓子の包みの横には、大きな手書きの字で「ジョンインちゃん、ごめんね。愛してる」「ジョンインちゃんのような子が現れないよう最大限助けてあげる」という短いコメントが所狭しと書かれたスケッチブックが置かれていた。昨年10月、養子縁組後に養親の虐待と幇助によって生後16カ月の短い人生を終えたジョンインちゃん(養子縁組前の名前)のもとを訪れる市民が後を絶たない。オンライン上では「#ジョンインちゃんごめんね」というハッシュタグをつけた追悼の言葉が拡散し、児童虐待致死容疑などで起訴された養親の法廷宛てに厳罰を要求する陳情書が数百件提出された。この日、政界では与野党を問わず、児童虐待を防ぐための対策作りを急ぐという誓いが続いた。

 昨年11月、ジョンインちゃんの養母のC容疑者の拘束で全貌が明らかになったこの事件は、事前に児童虐待の情況が発見されていたにもかかわらず、警察など関係機関が悲劇を防げず、論議を呼んだ。今月2日、ある放送局の番組を通じてこの事件に再び照明が当てられ、児童虐待防止対策と加害者に対する厳罰を求める声に再び火がついている。

 大韓児童虐待防止協会が進めている「ジョンインちゃんごめんね」チャレンジは、一般人はもちろん、芸能人や政界にも広がっている。この日午後5時現在、SNSのインスタグラムだけで5万件余りの書き込みがあった。市民たちは「#私たちが変える」「#向こうでは元気でね」などのハッシュタグをつけてジョンインちゃんの追悼に参加した。BTS(防弾少年団)のジミンさん、俳優のキム・ウォンヒさん、アナウンサーのチャン・ソンギュさんらもチャレンジに参加した。

4日午後、ジョンインちゃんが安置された京畿道楊平郡のハイファミリーアンデルセン公園墓地に置かれた、市民たちの追悼文が書かれたスケッチブック=楊平/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 市民の怒りは、ジョンインちゃんの生前に3回も通報があったのにきちんと対処しなかった警察や、殺人罪ではない児童虐待致死を適用した検察に飛び火している。警察は昨年5月から9月の間に、保育所の教師や小児科医などから児童虐待の疑いがあるという通報を3回も受けていたが、容疑の発見に失敗した。結局ジョンインちゃんは「外力による腹部損傷」で短い生涯を閉じた。当時、ジョンインちゃんの小腸や大腸、すい臓などの臓器は切断されており、背中やわき腹、腹、脚などの全身から皮下出血が発見された。ジョンインちゃんの死後、波紋が広がると、警察庁は児童虐待の通報を2回以上受けあざや傷痕などがある場合、児童を分離措置するという「手遅れの対策」を打ち出した。

 担当警察官の懲戒が甘いという批判も提起された。当時、事件を担当した警察官12人のうち5人は懲戒委員会にかけられ、残りの7人は「注意」や「警告」などの軽い懲戒処分を受けた。陽川警察署のホームページには1日からこの日までに、担当警察官らを批判する書き込みが3000件余り掲載されている。

 検察が殺人罪ではなく児童虐待致死を適用した点も議論になっている。事件を調査したソウル南部地検女性児童犯罪調査部は昨年12月、養母のC容疑者を児童虐待致死容疑で拘束起訴し、夫のA容疑者は遺棄・放任の容疑などで在宅起訴した。しかし、市民の間には養親に殺人罪を適用すべきだという声が多い。昨年11月、大統領府の国民請願にはジョンインちゃんの養親に殺人罪を適用してほしいという掲示が上がり、約23万人が同意した。

 養親の厳罰を求める陳情書を裁判所に提出する動きも広がっている。養親の裁判を担当するソウル南部地裁刑事合議13部には、この日現在で約500件の陳情書と厳罰嘆願書が提出された。大韓児童虐待防止協会のコン・ヘジョン代表は「(SNSで拡散する)チャレンジ後、厳罰を要求する陳情書がさらに増えると思われる」と話した。韓国女性弁護士協会もこの日、声明を出し、「ジョンインちゃんの被害、現在までに出ている証拠資料だけを見ても、殺人罪を適用することは無理がないと判断される」と明らかにした。

 同事件を担当したソウル南部地検・女性児童犯罪調査部は昨年末、専門解剖検査官の3人に死亡原因の再鑑定を依頼した。検察関係者は「事案を厳重に見ており、正確な真相究明をするため」と説明した。再鑑定の結果、検察はC容疑者に対する起訴状を変更し、殺人罪を適用する可能性もある。

 政界もようやく乗り出した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの日、書面でのブリーフィングを通じて「養子児童を事後管理する上で万全を期してほしい」とし、「養子縁組の手続き全般の公的管理・監督だけでなく、支援を強化する必要がある」と述べた。国民の力のキム・ジョンイン非常対策委員長は「真相究明を通じてこの事件(ジョンインちゃん事件)の責任者に厳罰を下さなければならない。法制度改善に必要な政界の役割のため最善を尽くす」と明らかにした。国民の党のアン・チョルス代表もこの日、党最高委員会議で、児童虐待を感知し申告できるマニュアルの作成▽虐待申告者に事後措置状況を共有▽ソウル地域の児童保護専門機関の実態点検などの案を提示した。

 専門家は、繰り返される児童虐待を防止するためには、警察や児童虐待担当の公務員などの専門性を育成しなければならないと指摘する。コン・ヘジョン代表は「親の虐待に対する認識の転換は基本的に必要であり、警察と児童保護専門機関の担当者が虐待を鋭敏に認知し処理できる専門性の教育が急がれる」と指摘した。

カン・ジェグ、イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/977265.html韓国語原文入力:2021-01-05 02:44
訳C.M

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