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「子どもへの体罰禁止」法制定…制定から62年の「親の懲戒権」削除を推進

登録:2020-06-11 02:20 修正:2020-06-11 07:01
法務部、子どもへの体罰禁止の法制化に着手 
警察庁は児童虐待を集中点検
2016年3月、ソウル中区の大漢門前。グッドネイバーズ、セーブ・ザ・チルドレンなどの42の市民社会団体のメンバーが、児童虐待で死亡した状態で発見された子どもの遺影を掲げ、虐待根絶を求める様子=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 7時間にわたって同居する男性の息子をスーツケースに閉じ込め、心停止状態に追い込んだ40代の女性が10日に送検された中、法務部は「親による子どもに対する体罰の禁止」を法制化する作業に本格的に着手した。これまで消極的な態度を示してきた法務部がこのような方針を明らかにしたことで、1958年以来維持されてきた民法の関連条項が改正されるか注目される。

 法務部は10日、親権者の子どもへの懲戒権条項を削除し、体罰禁止を明文化することを内容とする民法改正案をまとめる計画だと明らかにした。今年4月に法務部傘下の「包容的な家族文化のための法制改善委員会」が、民法の子どもに対する懲戒権条項を削除し、訓育に切り替えるよう勧告した内容を受け入れたものだ。現行の民法では、親権者の効力を規定した第915条(懲戒権)は、「親権者は、その子どもを保護または教え養うために必要な懲戒を行うことができるとともに、裁判所の許可を得て、感化または矯正機関に委託することができる」と定めている。この条項において懲戒権は、子どもを訓育する過程で社会通念上許される程度を指すが、親の体罰が許容されたものと誤解されてきた。さらに、親権の一つである懲戒権は児童福祉法に反するという指摘を受けてきたが、「子どものしつけのためには体罰は不可欠」という社会認識のため、維持されてきた。

 法務部は、12日にセーブ・ザ・チルドレンなどの関係機関との懇談会を開き、子どもの人権の専門家や青少年当事者の意見を収集し、その後、大学教授や弁護士などの専門家への諮問を経て、具体的な改正試案をまとめる計画だ。これをもとに、立法予告などの後続手続きを経て、民法の一部改正案をできる限り速やかに国会に提出する方針だ。

 専門家は、関連法の改正のためには、国民の認識の変化という裏付けが必要だと口をそろえる。梨花女子大学のチョン・イクチュン教授(社会福祉学)は、「国民に対して『訓育と懲戒は異なる』と説得する作業は難しい課題だ」と指摘した。保健福祉部の担当者は「児童虐待防止事業の推進の障害となっていた関連法の改正を、所管省庁の法務部が推進するとしたのは非常に意味がある」としながらも、「国民の相当数は、いまだに体罰を親の権利と考えている部分があり、『訓育のための体罰が児童虐待犯罪につながる』というキャンペーンを行う計画だ」と語った。実際に2017年の調査では、国民の76%が「体罰は子どもの教育上必要」と回答している。

 いっぽう警察庁は、最近重大な児童虐待事件が相次いでいることを受け、10日から来月9日までの1カ月にわたって、危機児童を発見し保護するため、福祉部や教育部、自治体などと合同点検チームを設置し、児童虐待に対する集中点検を行う。

クォン・ジダム、キム・ジョンピル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/948815.html韓国語原文入力:2020-06-10 19:35
訳D.K

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