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韓国、2.5レベルの社会的距離措置を6日延長…感染拡大の勢い収まっても安心できず

登録:2020-12-28 06:25 修正:2020-12-28 09:22
[既存の社会的距離措置を1月3日まで延長] 
 
レベル3への引き上げはなかったが
 
先週1日平均1017人の新規感染者発生 
家族感染24%で深刻 
英国から来た80代死亡、「変異」検査 
 
年末年始の拡散遮断に総力 
ファーストフード店もテイクアウト・配達のみ 
政府「もっと努力すれば減少に転じる可能性も」 
疲労感により警戒心が落ち
今月27日午後、ソウル東部拘置所前に新型コロナ感染者の発生で総合相談室を閉鎖するという案内文が貼り付けられている。 東部拘置所関連の累積感染者は計528人に増えた/ 聯合ニュース

 韓国政府が28日に終了する予定だった首都圏でレベル2.5、非首都圏でレベル2の社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を、来年1月3日まで延長すると発表した。その代わり、レベル3への引き上げは行わないことにした。連日新型コロナウイルスの新規感染者が1000人前後を上下しているが、既存のソーシャル・ディスタンシングと年末年始の特別防疫強化対策の効果をまず見守るという立場だ。しかし、第3波の長期化で市中感染が累積した状態であり、拡散傾向に簡単に歯止めがかからないと見られている。結果的に引き上げをめぐる議論を1週間猶予したのではないかという指摘もある。

レベル3への引き上げ基準をはるかに超えた感染拡大

 新規感染者数の指標がレベル3への引き上げ基準(1週間の1日平均800~1000人)を満たしたのは、10日前の16日(1日平均833人)だった。その後、1日に約1千人の新規感染者が発生し、ここ1週間(12月20~26日)の1日平均の患者数は1017人にのぼる。その前の週(12月13~19日)の949人に比べ、68人が増加した。

 療養病院や療養院など感染脆弱施設と宗教施設などでは、毎日のように新たな集団感染が続出している。ソウル松坡区(ソンパグ)の障害者福祉施設(27日基準・累積40人)やソウル陽川区(ヤンチョング)の療養施設(28人)、仁川市南東区(インチョンシ・ナムドング)の保育園(12人)、忠清南道牙山市(アサンシ)の宗教施設(8人)、慶尚北道尚州市(サンジュシ)の宗教施設(9人)、光州市光山区(クァンジュシ・クァンサング)の宗教施設(33人)などで新規感染者が発生した。日常生活のいたるところで感染が拡大し、家族感染も深刻なレベルに達している。防疫当局が最近1カ月間(11月20日~12月16日)に感染が確認された1万5111人の特性を分析した結果、全体の24.2%が家族内に感染者がいたことが分かった。中央防疫対策本部(防対本)のチョン・ウンギョン本部長は前日の定例ブリーフィングで「1千人台前後の新規感染者数が引き続き発生しており、接触者を通じて市中感染がさらに広がる恐れがある」と診断した。

 感染拡大の速度がさらに速いと推定される変異ウイルスが英国など各地で発見されている点も懸念されている。防疫当局は、英国に続き南アフリカ共和国から入国した者に対しても検疫を強化することにした。また、英国から入国した後26日に死亡した80代の男性(死後感染確認)の検体を確保し、変異ウイルス感染の有無を確認する計画だ。

レベル3に引き上げる代わりに、急場しのぎの対応のみ

 韓国政府は依然として「危うい局面」としながらも、できるだけレベル3への引き上げなしに感染拡大の勢いを食い止める方針だ。中央災害安全対策本部(中対本)のクォン・ドクチョル第1次長は同日のブリーフィングで「年末年始の防疫対策効果で勢いが衰えつつあるが、今後増加傾向の変化を注視しながら、ソーシャル・ディスタンシングのレベルを調整する必要がある」とし、「1週間の実行再生産数(感染者1人が感染させる人の数)が先週1.27(19日基準)から1.07(26日基準)に減少した。もう少し感染拡大の防止に拍車をかければ、状況を変えることもできるだろう」と述べた。

 中対本は、ソーシャル・ディスタンシングのレベルを引き上げない背景には「現在の患者発生水準で防疫と医療対応力が限界に達したとは思わない」という判断もあると説明した。一時期、一桁台にまでなった首都圏の新型コロナの重症患者の使用可能な病床数は、26日基準で80床に増えた。中央事故収拾本部のソン・ヨンネ戦略企画班長は、「全体的に致命率も急激に増加しておらず、治療に大きな問題は発生していない状況だ」と述べた。その代わり、中対本は同日、追加の防疫措置を再び打ち出した。ファーストフード店の場合も、カフェ同様コーヒーや飲料、デザート類を注文する際は、テイクアウトや配達だけを認めるようにしたのだ。首都圏だけに適用されていた無人カフェの店内着席禁止、「ホールデムパブ」(カードゲ―ムを楽しめるパブ)の集合禁止の規則も全国に拡大される。

 ただし、専門家の一部は、ソーシャル・ディスタンシングのレベルの調整なしに、急場しのぎの対応で感染拡大の勢いを食い止めるのは難しいと見ている。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「病床が追加で確保されたとはいえ、レベル3に引き上げて患者の発生数を減少させなければ、苦労して確保した病床もまたすぐに埋まるだろう」とし、「とくに医療陣の体力的消耗がひどく、これによる医療システム崩壊の危険も考慮しなければならない」と述べた。また「患者数は減らず、ソーシャル・ディスタンシングのレベルも調整せずに長期間維持されれば、人々の警戒心は徐々に緩むのは避けられないという点も懸念される」と指摘した。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は、「国民が自発的に距離を置くことに参加できる水準は、すでに高まったとみられる。こうした状況でも新規感染者数が減らなければ、追加措置は避けられない」とし、「5人以上の私的集まりの制限はある程度効果を発揮するだろうが、日常の中で感染拡大が起きる公的空間である職場などでの感染リスクは依然としてある状況」と述べた。

チェ・ハヤン、ソ・ヘミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/976111.html韓国語原文入力:2020-12-2802:43
訳H.J

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