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北朝鮮の首相が金剛山の独自開発事業を視察…金剛山が再び南北関係のキーワードに

登録:2020-12-21 06:05 修正:2020-12-21 10:43
キム・ドクフン首相「金剛山観光地区開発事業を現地点検」 
金正恩委員長が「撤去、自主開発」支持した現地指導から1年2カ月ぶり 
北朝鮮のキム・ドクフン首相が金剛山観光地区の開発事業を現地で点検したと「労働新聞」が20日付1面で報じた=労働新聞ホームページより/聯合ニュース

 北朝鮮の「労働新聞」は20日、キム・ドクフン首相が「金剛山(クムガンサン)地区の開発事業を現地で点検した」とし「党の構想を金剛山観光地区総開発計画に正確に反映し、執行することに乗り出す実務的問題を討議した」と1面トップで報道した。

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が昨年10月に金剛山観光地区を訪れ、既存の観光施設を「撤去」するよう指示し、新たな「総合的国際観光文化地区構想」を提示してから1年2カ月ぶりの現地点検だ。 新型コロナウイルス拡散のため1年以上先送りにされていた北朝鮮の金剛山観光地区の独自開発計画が再び動き出し、水面上に現れるムードだ。これにより、「金剛山」が来年の南北関係のキーワードに浮上する見通しだ。

 キム・ドクフン首相は「高城(コソン)港海岸観光地区、海金剛海岸公園地区、体育文化地区など」を見回り、「金剛山地区を現代的で総合的な国際観光文化地区として整えるための開発事業を、年次別、段階別計画によって推し進め、人民のために服務する名山、世界中が羨む文化休養地にすることを強調した」と同紙は伝えた。また、「現地で行われた協議会では、総開発計画が作成されたことに合わせ、開発事業の優先順位を正しく決め、世界的レベルのホテル、ゴルフ場、スキー場などの設計と施工で主体的な建築思想と建設政策を徹底的に実現するための対策が討議された」と伝えた。

 キム首相の金剛山地区訪問は、来年1月の朝鮮労働党第8回大会を控え、昨年10月の金正恩委員長の金剛山観光地区に関する「特別指示」の進行状況を現地で点検するためのものとみられる。北朝鮮が独自の金剛山地区開発事業を本格化すれば、既存の施設物の撤去をめぐる「財産権問題」が浮上するのは避けられない。この問題は、南北が合意地点を見出すことが難しい難題であるため、南北関係に負担として作用する可能性が高い。

 韓国の元高官は「キム首相の金剛山地区現地点検報道はひとまず『良い知らせ』とみる余地はなさそうだ」と話した。ただし、同高官は「北も新型コロナの状況が安定する前にどうこうしようというのではなく、今すぐ撤去が南北間の懸案として浮上することはないだろう」とし、「時間をかけて解決策を探る必要がある」と述べた。

 これと関連し、キム首相の金剛山観光地区の現地点検を伝えた「労働新聞」の報道文には、金正恩委員長が「見るだけで気分が悪くなるみすぼらしい南側の施設」と述べた既存の施設に関して「撤去」という表現が直接登場しなかった事実も留意すべき点だ。元高官は「労働新聞に『撤去』という直接の表現が登場していない事実は示唆的だ」と指摘した。 同高官は「北は独自の開発を強調しながらも、南北関係にさらに負担を与える言動は控えることで、多くの可能性を開いておこうとしたようだが、問題は韓国側があまり身動きが取れない状況にあるという点」と述べた。

 これに先立ち、「労働新聞」は昨年10月23日付1面トップで、昨年金正恩委員長が金剛山観光地区を訪れ「見るだけでも気分が悪くなるみすぼらしい南側の施設を南側の関係部門と協議してすべて撤去し、金剛山の自然景観にふさわしい現代的なサービス施設を我々の方式で新たに建設しなければならないとおっしゃった」と報道した。その後、北朝鮮は「施設の完全撤去」を韓国に要求したが、新型コロナによる国境閉鎖措置に伴い、1月30日に「施設撤去をしばらく延期」という方針を韓国側に通告した。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/975014.html韓国語原文入力:2020-12-2102:46
訳H.J

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