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「営業は止まっているのに店の家賃は変わらず…」続くコロナ禍、自営業者の鬱憤=韓国

登録:2020-12-17 11:00 修正:2020-12-17 12:09
「コロナで1年間の赤字が1億ウォンを超えるのに…」 
1・2・3波のたびに売り上げが落ち 
「防疫には協力するが、私たちだけが犠牲を強いられる」
ソウル龍山区のあるレストラン。夕食時にもかかわらず店の電気は消え、POSシステムのモニターだけが点いている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「-1億1600万ウォン」。ソウル市内のある複合ショッピングモールでフランチャイズの食堂を営むAさん(59)の現在(1~11月)の“成績表”だ。ひと月の賃貸料・管理費(1300万ウォン、約124万円)と人件費・材料費(2200万ウォン、約210万円)はそのままだが、新型コロナウイルス拡散に伴い売上はジェットコースターのように上下した。毎月1000万ウォン近い借金を「カードカン」(クレジットカードで割引融資を受ける違法な方法)で返す。生活費は妻のカードローンに頼っている。授業料の負担から、最近息子を軍隊に行かせた。4年前、退職金(高校教師)で食堂を始めた時は想像もできなかったことだ。昨年までは大きな額ではないが収益があった。「お先真っ暗です。家族の未来が見えない。(賃貸料を払う)毎月末は気が気でない」

 この1年、新型コロナの拡散傾向に従って韓国社会は“一時停止”を繰り返した。そのたびにまず自営業者が常に停止しなければならなかった。14~16日、ハンギョレが取材した自営業者たちは、防疫のために営業を中止しなければならないということは理解できるが、なぜ他の事業は止めないのかと問い返した。防疫基準に沿って営業方式を変え、毎月賃貸料を工面するために努めてきたが、12月のコロナ第3波にはもはや耐えられないという声が出ている。「来年からローン返済が始まる多くの社長が春を恐れているでしょう」(カフェ経営者のBさん(41))

 ハンギョレが取材した自営業者の1年の売り上げを見ると、彼らはコロナ第1波(3月)で打撃を受けた後、第2波(8月)には基礎体力が底をつき、第3波(12月)で崖っぷちに追い込まれたことがうかがえる。Aさんの場合、今年8月には2600万ウォン(約250万円)の売り上げがあったが、コロナ第2波を経た後、9月の売り上げは600万ウォン(約57万円)減った。回復するかと思われたが、12月に再び落ちている。昨年12月には3600万ウォン(約340万円)の売上を記録したAさんは、今月は売上が1000万ウォン程度だと予想している。京畿道高陽(コヤン)で居酒屋を運営するCさん(42)は「3月に売り上げが落ちたが今年7月までは持ちこたえていた」と話す。今年1500万~1900万ウォンを維持していた売上は、8月(1200万ウォン)から落ちていっている。「12月に入って店にひと組も来ない日が多い。年末の会をしないから、客がいません」。ソウル麻浦区(マポグ)でカフェを営むBさんも「夏休みに海外旅行に行けないから店に客が多くくるだろうと期待したが、8月の売り上げが半分になった後、回復できずにいる」と話した。Bさんのカフェは9月から赤字が続いている。

 政府の第1・2次災害支援金は、彼らにとって足しにはなった。しかし自営業者たちは「効果はその時だけだった」と口をそろえる。これさえも、大手スーパーマーケットに入店し大企業に分類されている30代のDさん(京畿道のある大手スーパー内のメガネ店経営)は、「災害支援金が使えないと聞いて客が離れ、むしろ売り上げが落ちた」とうなだれた。

 「私たちにあまりにも一方的な犠牲を強いているのではないかと考えてしまう。何も悪いことをしていないのに罪人のように罰せられているみたいです」(カフェ経営者のBさん)。 彼らは、新型コロナによって自分たちの売上は乱高下しているのに、賃貸料はそのままであることに疑問を持つ。「善良な賃貸人」はいないと言う。Bさんは「“善良な賃貸人運動”なんて期待もできない。周りでそんな賃貸人は一人も見たことがない」とし「賃貸料を安くしてほしいと言ったら、退出するときや再契約するときにマイナス要因になる。力比べで負ける」と吐露した。「善良な賃貸人」に出会って今年の賃貸料は500万ウォン(約48万円)の減免を受けたCさんも「わたしは分譲商店街なので、店ごとに所有者が違うため恩恵を受けた。賃貸料の引き下げでビルの価値が下がるのを心配するビルの所有者は、政府の支援を受けても絶対に善良な賃貸人にはなりえない」と話した。

 国会が今年9月に商店街賃貸借保護法を改正し、「借賃増減請求権」(賃借人が賃貸人に経済事情の変動を理由として賃貸料の引き下げを要求できる権利)に感染症も理由として追加したが、自営業者はこのような事実を知らなかったり、知っていても期待していない様子だった。実際には賃貸料を削るためには訴訟を通さねばならない可能性が高いからだ。自営業者たちは最近、「社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)レベル3にき上げを検討中」という話が出るたびにビクッとするという。新型コロナからしばらく抜け出せないなら、これからはもっと根本的な対策が出て来なければならない。Cさんは「営業時間を制限するなら賃貸料も引き下げられるような政策を導入してほしい。なぜ賃貸料だけは止まらないのか」と話した。

 16日、小商工人団体はソウル鍾路区(チョンノグ)の大統領府の噴水前で記者会見を開き、「消費停滞による売上減少に加え営業も物理的に制限されている中、賃貸料はきちんと納めなければならないため、負担が大きい」とし「(最近国会で発議された)賃貸料一時停止法が一日も早く国会で可決されることを願う。感染症防疫補償範囲に集合制限・禁止措置による小商工人、中小企業事業主、労働者の経済的損失を含む立法がなされ、支援の根拠を作るべきだ」と主張した。韓国中小商人自営業者総連合会のイ・ソンウォン事務総長は「政府は、これまでにない試みをすべき時だ」と話した。

チョン・グァンジュン、イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/974608.html韓国語原文入力:2020-12-1707:38
訳C.M

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