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[ルポ]「いっそレベル3に強化してほしい」路地の自営業者の悲痛な訴え

登録:2020-09-09 10:45 修正:2020-09-09 12:11
自営業者は日々切羽詰まっているのに 
市民は公園で飲酒、集会予告まで… 
「防疫を最高水準に上げて強制してでも 
新型コロナの終息を早めてほしい」
今月6日午後、閑散としたソウル中区の南大門市場。必要な物を買いに来た市民や、たまに外国人観光客を見かけることもある=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 首都圏の「準3段階」(レベル2.5)の社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)が1週間続いた今月5日の昼、普段は週末を迎え訪れる人々で賑わっていたはずのソウル中区(チュング)の南大門(ナンデムン)市場は、ひっそりとしていた。午後4時になっても物を買う客が来なかった店主たちの顔には、深いしわが寄っていた。昨年末まで人波でごった返した明洞(ミョンドン)の路地も、幽霊都市のようになっていた。「テナント募集」の貼り紙がついたところのほうが開いている店よりも多かった。路地の店の半分は閉まっていた。「破格セール」と宣伝しながら店を開いた店主たちも「これ以上は耐えられない」とため息をついた。

 南大門市場でアクセサリー店を営んで6年目になるYさん(50)は、「最近、近所の店の人たちに会うと、朝でも夜でも『開店したか』と尋ねるのが挨拶になった。一日お客さん1人迎えるのも難しい」と話した。また別の店主は「数日前、一日2万5000ウォン(約2200円)分を売って、2万ウォン売り上げたという隣りの店の主人に『今日は私が勝ったな』と自慢したよ」と苦笑いした。このような状況にもかかわらず、この日ハンギョレが南大門市場と明洞、弘大入口(ホンデイプク)区域で会った自営業者たちは、口をそろえて「いっそソーシャル・ディスタンシングをレベル3に強化してほしい」と話した。「夜9時以降の営業制限などで自営業者は死に体だが、市民たちが防疫規則を守らなければ何の意味もない」ということだ。

 実際、台風が去った後、最近漢江(ハンガン)公園や都心の公園には秋のはじまりを楽しむ市民たちが集まってきている。マスクを外して飲酒を楽しむ人も多い。弘益大学の入り口でも、居酒屋と食堂が閉まる夜9時以降、開いている居酒屋を探してうろつく人が目についた。そのような人々は、酒びんを持って公園など屋外スペースに足を運んだ。いつ廃業に追い込まれるか分からない自営業者たちが、営業を諦め防疫の手綱を締めているのに、一方では防げない防疫の穴が放置されているのだ。

 身を削る努力が無駄になるのではないかと、自営業者たちは戦々恐々としている。3年間運営してきたホルモン屋を先月廃業したCさん(38)は、先日、ある宿泊先に配達に行ったが、一つの部屋に10人余りが集まって酒宴を広げている姿を目撃した。皆マスクもつけていないままだった。チェさんは「食堂や居酒屋を閉めても、人びとは漢江や公園で酒を飲んで遊んでいては防疫にならない。いっそのことソーシャル・ディスタンシングを施行して(集まりを)やめさせるべきだ」と、怒りをあらわにした。仁川(インチョン)でカフェを経営するJさん(36)は、保守派団体の10月3日の集会予告に「これまでの努力が無駄になるかも」とため息をついた。準3段階のソーシャル・ディスタンシングの後、Jさんのカフェは(フランチャイズ店ではないため)店内で飲食可能であるにもかかわらず、注文はすべてテイクアウトと配達にするなど、Jさんは防疫守則を守ろうと努めてきた。Jさんは「店をやっているのだから経済的な打撃を考えないわけにはいかない」と言いつつも「防疫を守る人だけが守っているようなので、レベル3の強力な措置が必要だと思う」と訴えた。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/961333.html韓国語原文入力:2020-09-09 02:12
訳C.M

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