来年1月にジョー・バイデン米大統領当選者が就任すれば、トランプ政権が放置した「韓米日3カ国協力」を強化するという分析が相次いでいるが、新型コロナウイルスの第3波などの影響で、期待されていた韓日関係の早期改善は難しくなったものとみられる。
国家情報院長などの訪日にも日本の反応は冷ややか
バイデン政権の国務副長官候補に挙げられるハーバード大学ケネディスクール公共リーダーシップセンターのウェンディ・シャーマン所長(オバマ政権では
国務省政務次官)は、米戦略国際問題研究所(CSIS)が14日(現地時間)にオンラインで開催した「2020世界安保討論会」で、今後米国政府が積極的に対応すべき3つの問題として「新型コロナ、気候、中国」(covid19、climate、China)を挙げ、「経験豊富な人物を適切に選抜し、韓国など同盟国との関係を立て直さなければならない」と指摘した。戦略国際問題研究所のマイケル・グリーン・アジア担当上級副所長も、米国には「より多くのネットワーキングが必要だが、現在の韓米日間のネットワーキングの状況は深刻だ。韓国と日本は争っている」と指摘した。戦略国際問題研究所は7日に公開した第5回アーミテージ・ナイ報告書で「情報と防衛分野における米日韓3カ国の協力強化が緊急を要する課題であることを強調しておきたい。重要なのは韓日間に緊張が続いていることだ。韓日両国ともに過去ではなく、未来に焦点を合わせなければならない」とし、韓日両国に歴史問題をめぐる軋轢を早く収拾するよう強く要請した。
韓国政府はバイデン政権発足後、本格的に始まるものと見られる日本との関係改善要請に備え、多くの努力を傾けてきた。特にパク・チウォン国家情報院長は先月10日、菅義偉首相を表敬訪問し、来年7月頃開催される予定の東京五輪を2018年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪に続く「平和五輪」として活用することで、韓日関係改善を目指したい考えを伝えた。しかし、日本政府は「厳しい状態にある韓日関係を健全な関係にするきっかけは韓国が作るべきだ」という強硬な立場を崩さなかった。
牧野愛博・朝日新聞編集委員が文藝春秋の最新号に寄稿した「徴用工問題『日韓秘密交渉』の全貌」には、パク院長訪日後、韓国政府が試みた外交的努力の一端が紹介されている。大統領府は先月19日、パク・チョルミン大統領府前外交政策秘書官(現ハンガリー大使)を極秘で日本に派遣した。彼は滝崎成樹アジア大洋州局長(現外交担当官房副長官補)との面会で、朝日間の外交関係がどれほど進展しているのか、菅政権がどれほど真剣に対北朝鮮外交に乗り出す考えなのかなどに対する日本の立場を確認したという。
任期1年の“短期政権”の運営を任された菅首相は、これまで国政の最優先課題として掲げてきた日本人拉致問題などで外交成果を出すことで、任期の延長を図らなければならない状況だ。そのためか、日本の政府関係者は上記の文で「もうすでに(両国間の最大懸案である強制動員被害者賠償判決と関連した)論点は出尽くした。韓国側も、どうしたら日本が受け入れるのかを理解した。判決の執行を止めるしか手段はないことは韓国もわかっている」と語った。日本が関係改善に向けて方向転換できるよう、韓国政府が譲歩案を提示すべきと要求したのだ。
大統領府、国内反発意識し、譲歩案見出せなかったもよう
しかし、それから1カ月近くが経過する間、両国の間には特別な外交的動きは見られない。韓国国内の反発を懸念した大統領府が、日本が受け入れられる“譲歩案”を見出せなかったためと推定される。そうしているうちに、今月に入って韓日両国で新型コロナの第3波が始まり、政権支持率が急落した。特に今年9月末に68%で始まった菅政権の支持率は、14日の毎日新聞の世論調査で40%まで落ち込んだ。両国とも敏感な“歴史懸案”について妥協案を見出せる政治的空間が消えたわけだ。このため、韓日関係の改善作業も、来年以降に進めるべき課題として、先送りにせざるを得なくなったものと見られる。