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「自分は無症状患者かもしれない」…韓国、寒波のなか無料検査に長蛇の列

登録:2020-12-15 02:09 修正:2020-12-15 11:25
[臨時選別検査所設置初日] 
家族連れから学生や会社員まで 
「1日1千人出ているから不安で」 
「会社が検査奨励して全職員が受ける予定」 
匿名が可能なため、連絡先などのみを書く人も 
医療陣「緊急の場合のみ迅速抗原検査 
正確さが落ちるので、市民には勧めない」 
チョン・ウンギョン「症状疑われる人が受けやすくなるように…」 
有症者中心の検査所利用を呼びかけ
14日、ソウル駅広場に設けられた新型コロナ臨時選別検査所で、市民が並んで検査を待っている/聯合ニュース

 体感温度がマイナス10度以下にまで下がった14日、ソウル中区(チュング)のソウル駅広場にテント4つを設置して設けられた臨時選別検査所の前には、数十人が列を作っていた。市民たちは、厳しい寒さを防ぐため厚いダウンジャケットを着て帽子を目深にかぶっている。子連れの親、スーツケースを引いてきた学生、近所の会社員が複数目についた。彼らは約15~30分待たされた後に電話番号、性別、年齢、症状などを記入する「新型コロナ検査問診票」を作成した。匿名での検査が可能なため、名前は書かなくてもよい。

 この日、初めて開設された臨時選別検査所は、新型コロナウイルス感染症の無症状感染者を早期に発見し、さらなる伝播を遮断するために設置された。このところ新規感染者の70%以上が発生している首都圏に150カ所が設けられる。ソウル市はこの日、16カ所を開設したのに続き、順次40カ所の選別検査所を設置していく計画だ。流動人口の多い主な地下鉄乗換駅、広い公園、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の強化で運営が中止された公共施設の駐車場などが主な場所だ。平日、週末を問わず午前9時から午後6時まで営業するのが基本だが、地域ごとに多少の違いがある。

 臨時選別検査所で行われる検査は3つ。主に使われるのは鼻の中に機器を入れて検体を採取する従来の「鼻咽頭塗抹遺伝子増幅(PCR)検査」だ。この検査は最も正確度が高く、国内の診断検査で主に使われてきた標準検査法だ。結果は普通24時間以内、遅くとも48時間以内には出る。鼻の中に機器を入れるのが難しいなら、口の中に溜まった唾液を採取して行う「唾液PCR検査」も可能だ。ただ精度がやや落ち、偽陰性(陽性だが陰性と判定される)が出る可能性があるうえ、複数をまとめての検査ができず、いちいち個別に検査しなければならないという短所がある。

 最も大きな関心を集める検査は、結果が30分以内に判断できる「迅速抗原検査」だ。しかし、現場でこの検査を受ける市民に会うことは難しかった。唾液検査よりも正確さが落ち、結果が陽性であれば、再び鼻咽頭塗抹検査を受けなければならないため、奨励されない方式だからだ。中区(チュング)保健所のミョン・スヨン選別総括チーム長は「午後2時30分現在、検査数は350件を超えた」とし「鼻咽頭塗抹PCR検査が95%以上、唾液PCR検査は3%未満、迅速抗原検査はほとんどなかった」と述べた。この日夜までに、ソウル駅だけで732件の検査が行われた。

 子連れで選別検査所を訪れたある市民が迅速抗原検査を要請し、「緊急状況でのみ実施するのが原則」と話す職員ともめる一幕もあった。検査を受けに来た市民の中には、3つの検査方法が可能だという説明を全く受けられなかった人もいた。ミョン総括チーム長は「迅速抗原検査はキットに試薬を落として約30分かけて見守らなければならないため、検査遅延の原因となりうる。人材が不足する状況では適切でない方式」と述べた。

 市民たちは、症状がなくても無料で検査を受けられることを喜んだ。ソウル駅近くの会社に勤める会社員のAさん(32)は、「これまで症状はないが、病院を訪ねて検査するには費用が負担だった。今回の無料検査で、自分が無症状患者かもしれないという不安を解消できるのでうれしい」と話した。カン・ヨンスさん(58、専業主婦)は、「コロナの症状は全くないが、1日に1000人の感染者が出ているため、不安で検査を受けに来た」と語った。団体で検査を受けに来た人もいた。同僚と選別検査所を訪れたCさん(25)は「20分ほど待ったが、検査は思ったより早く終わったので満足」とし「会社が検査を奨励していて、全職員が臨時選別検査所で検査を受ける予定」と話した。

政府が首都圏150カ所に順次設置する臨時選別検査所でのコロナ無料検査が開始された14日昼、ソウル中区のソウル駅広場に設けられた臨時選別検査所で、検査を待つ市民たちが並んでいる=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 中央防疫対策本部のチョン・ウンギョン本部長はこの日の定例ブリーフィングで、「臨時選別検査所を拡大したのは、多少の症状が見られ、病院に行くかどうか迷っている方、検査を受けようと思ってはいるものの、選別診療所が遠すぎたり複雑な手続きに気が引けたりする多くの方たちが、検査を受けられるようにするため」と説明した。有症者を中心に利用してもらいたいという趣旨だ。臨時選別検査所で検査を受けた後の自己隔離の必要性について、チョン本部長は「疑われる症状がある場合は、なるべく自己隔離を勧告するが、強制的措置を強化すれば検査を受ける人が減る可能性があるため、運営しながらさらに検討する」とし、「ただし、迅速抗原検査で陽性なら自己隔離を勧告する」と述べた。

イ・ジュビン、ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/974205.html?_fr=mt1韓国語原文入力:2020-12-14 20:22
訳D.K

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