米製薬会社ファイザーに続き、モデルナも16日(現地時間)、予防効果90%以上との第Ⅲ床臨床試験の中間結果を発表した中、韓国政府は両社の製品を含めた5つのワクチンについての購入交渉を進めていることを明らかにした。来年の晩秋に行われるインフルエンザの予防接種より前に、優先的に接種が必要な人たちに対する新型コロナワクチンの接種を終えることが目標だ。
中央防疫対策本部(防対本)のクォン・ジュヌク副本部長は17日の定例ブリーフィングで「最近開かれた新型コロナワクチン導入諮問委員会で、第Ⅲ相臨床試験に入っている10種のワクチンのうち、臨床資料が不足していたり情報が不十分だったりするものを除いた5種程度を選んだ」とし「これらのワクチンを時差をつけて優先購入すべきということで専門家の意見が一致した」と明かした。続いてクォン副本部長は「ファイザー、モデルナとも、すでに交渉が詰めの段階に入っている」とし「早ければ今月末、または12月初めには全体的な契約状況、進行状況、確保した物量などについて明らかにできるだろう」と付け加えた。
当初から政府は、新型コロナワクチンが開発されれば、ワクチンの共同購入・配分のための国際プロジェクト「COVAXファシリティ」を通じて1000万人分を、ワクチン開発を進めるグローバル企業との個別交渉を通じて2000万人分を確保するツートラック戦略を進めてきた。防対本はこの日、国内用のワクチンの物量を全人口の60%分よりも多く確保できるようにすると説明した。
接種の目標時期についても、より具体的に言及した。クォン副本部長はこの日「優先接種対象者に対しては、来年晩秋のインフルエンザ予防接種が行われる前に接種を完了することが目標」としつつも「米国や欧州など先に接種する国の接種開始時期が繰り上げられれば、韓国での接種もそれに合わせて適切な時期に行う」と述べた。他国での接種で副作用があるかどうかを観察し、それによって韓国での接種時期も変わる可能性があるという説明だ。これについてクォン副本部長は「2回接種するのに平均1カ月、副作用の観察に2カ月は必要という(専門家の)意見を考慮している」と述べた。1回目の接種と2回目の接種の間隔は、ファイザーのものは3週間、モデルナは4週間だ。
16日に新型コロナワクチンの第Ⅲ相臨床試験の中間結果を発表したモデルナのワクチンは、94.5%の予防効果とともに、医療機関と薬局での保管の容易さが注目されている。モデルナは、ワクチンの標準冷蔵温度である摂氏2~8度で30日間保管でき、マイナス20度で6カ月間の長期保管と移送が可能だと明らかにした。これに先立って、予防効果が90%以上と発表されたファイザーのワクチンは、マイナス70度以下でのみ6カ月間の保管が可能で、一般冷蔵保管期間は最大5日間に止まり、韓国にまで流通させるのは現実的に難しいという評価が出ていた。
ただ、ワクチンの生産量ではファイザーがややリードしている。ファイザーは年内に最大5000万回(2500万人)分、来年は最大13億回分の生産が可能だと明らかにしている。これに対しモデルナは年内に2000万回分、来年は5億~10億回分を生産する計画だ。また、第Ⅲ相臨床試験での副作用の有無についても、ファイザーは「深刻な安全問題は現れていない」と明らかにしているが、モデルナは接種部位の痛み(2.7%)と2回目の接種後の疲労(9.7%)、筋肉痛(9%)、頭痛や複合的な痛み(5%)などがあったと明らかにしている点も異なる。今後、両製薬会社に続き、英製薬会社アストラゼネカや米ジョンソン・エンド・ジョンソンなどが第Ⅲ相の結果を発表し、米食品医薬品局(FDA)などの各地域の規制当局に緊急使用承認を申請する見通しだ。
防疫当局と専門家は17日にも、ワクチンによって新型コロナがすぐに終息するわけではないと強調した。嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学)は、「第Ⅲ相で期待以上の中間結果が出たのは事実だが、実際にワクチンが普及して接種するまでには、少なくともあと10カ月は待たなければならない。これでやっとトンネルを半分ほど過ぎた。ワクチンが開発されたことで防疫態勢を緩めれば、むしろより多くの患者と死者が出るだろう」と指摘した。防対本も「ワクチンと治療薬は生活防疫を補完するもので、すぐに代替するものではない」とし「下山の途中で油断して怪我をしないように慎重であらねばならない」と呼びかけた。