「尊敬する議長、各国首脳のみなさま、特に日本の菅首相、お会いできて嬉しいです」
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は14日、大統領府で「ASEANプラス3・オンライン首脳会議」に出席し、このように述べた。同日の会議にはASEAN10カ国の首脳とともに、中国の李克強首相らが出席したが、ただひとり日本の菅義偉首相に向かってのみ個別にあいさつしたのだ。画像ではあるものの、文大統領と菅首相が顔を合わせたのは初。多国間首脳会議で特定国家の首脳にだけ挨拶をするのは異例のことで、その背景に関心が集まっている。
これについて大統領府周辺では、文大統領が日本の安倍晋三首相時代に強制徴用賠償問題などで冷え込んだ韓日関係の突破口を模索しようとしているという見方が出ている。文大統領は9月24日の菅首相との初の電話会談でも、この問題について言及している。この電話会談で文大統領は「菅首相就任を機に、強制徴用などの両国間の懸案の解決に向けたコミュニケーションの努力を、新たな心構えで加速していこう」と述べ、菅首相も「懸案解決のための対話の努力を促進していく」と述べている。
このような基調に合わせ、菅首相の就任以降、韓日関係改善に向けた政府与党の動きも加速している。パク・チウォン国家情報院長は今月8日から3泊4日の日程で日本を訪問し、今年ソウルで開かれる韓中日首脳会談に菅首相が出席するかどうかなどについて調整したという。韓日議員連盟会長のキム・ジンピョ議員(共に民主党)と、同党のキム・ハンジョン、ユン・ホジュン、チョン・ヘスクの各議員、国民の力のキム・ソッキ議員、ナム・グァンピョ在日本韓国大使らは13日午後、日本の首相官邸に菅首相を表敬訪問した。この会談後、キム・ジンピョ議員は記者団に対し、「強制徴用解決策の模索については、両国の外交当局間でこの1年間に、出しうるあらゆる案について十分に協議してきた。今や政治指導者の選択と決断が残っている」と述べた。これについて菅首相は「韓日関係が改善するためには、韓国が強制徴用問題について進展した立場を示してほしい」とし、依然としてボールを韓国に投げている。キム議員は「その問題は大統領府に伝えると申し上げ、ますます両国首脳ができるだけ早い時期に会って虚心坦懐にコミュニケーションをとり、決断する必要があると(菅首相に)述べた」と明らかにした。