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強制労働被害者「三菱財産差し押さえ訴訟」、来月効力発生

登録:2020-11-11 02:41 修正:2020-11-11 06:59
大田地裁、先月三菱に審問書と差し押さえ命令文を公示送達 
審問書は10日、差し押さえ命令決定文は12月30日に効力発生
日帝強占期の強制労働の被害者らが日本の三菱重工業に対して起こした「差し押さえ資産売却命令申請事件」において、大田地裁の差し押さえ命令は来月30日に効力を得る//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期(日本の植民地時代)に強制労働をさせられた被害者が、日本の三菱重工業に対して起こした韓国内の資産差し押さえおよび売却訴訟が、10日の審問手続き終了に続き、来月には差し押さえ命令の効力が発生するため、実際に売却による補償が行われるかどうかに関心が集まっている。

 大田(テジョン)地裁は10日、ヤン・クムドクさん(91)ら、日帝強占期の強制労働被害者と遺族5人が、日本の三菱重工業を相手取って起こした「差し押さえ資産売却命令申請事件」関連の訴訟書類の一つである審問書の公示送達を行ったことを明らかにした。裁判所は先月7日に審問書と差し押さえ命令決定文などの公示送達を決定している。

 審問書は、同日午前0時をもって効力が発生し、差し押さえ命令は来月30日午前0時に効力が発生する。法曹界の説明によると、公示送達した審問書の効力が発生したということは、裁判所がこれ以上訴訟相手を審問せずに判決を下すということを意味する。公示送達は、訴訟相手が書類を受け取ったという事実確認が難しい場合に、裁判所の掲示板、官報などにその内容を掲載すれば、当事者に渡ったと認める制度だ。

 被害者らが大田地裁に提出した債権額は、すでに亡くなった1人の原告を除く4人分8億400万ウォン(約7560万円)で、差し押さえ対象の三菱側の資産は、特許庁に登録された商標権2件と特許権6件だ。裁判所は弁論期日を決めて4回裁判を開いたものの、三菱側は出席していない。被害者らの法律代理人であるキム・ジョンヒ弁護士は聯合ニュースに対し、「(被告側は)裁判所に対して特に返事をしていないと聞いている。いつまでも執行結果を待ってばかりはいられない状況」と述べた。

 裁判所は、差し押さえ命令文の公示送達の効力が発生すれば、三菱側の資産を差し押さえて売却するなどの方法で現金化を命令するかどうかを決定することになる。ヨ・ウンチョル弁護士は「通常の公示送達の手続きからすると、12月30日0時を起点として差し押さえが可能となる。ただし三菱側が審問書の公示送達に対して異議を提起すれば、裁判所に審問開始申請をすることになる。差し押さえ命令の公示送達が行われた後に異議を提起すれば、差し押さえ命令に不服を申し立てて抗告するということを意味する」とし、「事案によっては、差し押さえと売却までに時間がかかることもある」と述べた。

 一方この日、聯合ニュースは共同通信などの報道を引用し、「日本の三菱重工業側が意見書を提出する予定だ。1965年の韓日請求権協定によって完全かつ最終的に解決され、いかなる主張もできなくなったと理解しているとの意見を述べた」と報じた。

 強制労働の被害者や遺族らは昨年3月22日、大田地裁に三菱重工業の韓国内商標権と特許権の差し押さえ、および売却命令を下すよう求める訴訟を起こした。原告は、強制労働について2012年10月に光州地裁に損害賠償請求訴訟を起こし、最高裁は2018年11月に三菱重工業に対し、被害者1人当たり1億~1億5千万ウォン(約941万~1410万円)の慰謝料を支払うことを命ずる原告勝訴の判決を言い渡している。

ソン・インゴル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/chungcheong/969322.html韓国語原文入力:2020-11-10 14:19
訳D.K

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