チュ・ミエ法務部長官が「検察改革は失敗した」としてチュ長官を批判した一般の検事を公開で批判した。このことに触発された検事たちの反発が広がっている。チュ長官の批判を契機に、捜査指揮権の発動や公開監察の指示などで累積した内部の不満が大量のコメントで噴出している格好だ。
春川(チュンチョン)地検のチェ・ジェマン検事(48・司法研修院36期 )が29日、検察内部のネットワークに掲載した「長官のSNS掲示について」というタイトルの書き込みには、30日までに200件以上のコメントが寄せられた。検事全体の10人中1人が意見表明したことになる。チュ長官の「一般の検事に対する公開批判」は、内部批判を抑圧する非常に不適切な行動という見解が主流をなしている。
チュ長官は28日、イ・ファヌ済州地検検事(44)が検察内部のネットワークにチュ長官を批判する書き込みを載せたことを受け、翌日フェイスブックに「このようにカミングアウトしてくれるなら、解決策は(検察)改革しかありません」と書き込んだ。チュ長官は、イ検事が同僚検事への脅迫罪で逮捕された被疑者に対し、過酷な取り調べを行ったという疑惑を取り上げた記事もシェアした。チュ長官が、自分に批判的な意見を示した検事を検察改革の対象と決めつけ、ユン・ソクヨル検察総長との戦線を一般の検事にまで広げたわけだ。内部の批判に対するチュ長官の過剰な反応に、ある検事は「独断や抑圧、恐怖は改革ではない」とコメントしており、別の検事は「権力者の意思に反対意見を述べるやいなや、公権力と世論という最も強力な権力で弾圧するというのが、この事件の本質だ」と指摘した。「内部構成員が自由に意見を開陳できるようにすることも民主主義」や「正しい検察改革と、そのための自由な意思表現を応援する」などのコメントも寄せられた。
「検察改革には反対しないが、政治的中立性も守られるべきだ」という趣旨のコメントも少なくなかった。ある検事は「一方的に非難し、けなし、抑圧する検察改革ではなく、民主的統制とともに政治的中立性と独立性が共存する真の検察改革を始めるべきだ」と書き込んだ。別の検事は「私が学んできた司法体系の中立性が深刻に脅かされている時期に“壁に落書きする”気持ちでコメントする」と書いた。「チュ秋長官が、性的少数者が自分の性的指向を表す時に使う『カミングアウト』という言葉を不適切に使用した」とか、 検事たちが共感を示すために「自分もカミングアウトする」という表現を使うのは不適切だという指摘もあった。
検事たちのこのような「コメントリレー」が続く中、イム・ウンジョン最高検察庁監察政策研究官は同日、検察内部のネットワークに、李明博(イ・ミョンバク)元大統領に対する検察の嫌疑なしの処分(2007年)やキム・ハグィ元法務部次官に対する消極的捜査などを取り上げ、「検察の悪業がとても多く、批判を受けている。自省が必要だ」と書き込んだ。しかし、この書き込みについても「論点ずらしに聞こえる」など、同意できないという内容のコメントが相次いだ。
地方検察庁のある刑事部検事は「国政監査以前はチュ長官とユン総長の争いを“対岸の火事”程度に考えていた一般の検事たちも、長官が直接、検事を“清算の対象”として扱うのを見て『他人事ではない』と衝撃を受けたようだ」とし、「刑事・公判部の検事らの話に耳を傾けると言っていた長官が、いざ第一線から反対意見が出ると、『あなたも積弊だ』と非難したわけだ」と分析した。参与連帯公益法センターの所長を務めたヤン・ホンソク弁護士は、「最高検察庁の機能を無力化し、捜査自体に介入する恐れがあるため、二次的・最後の手段になるべき捜査指揮権や監察などがあまりにも簡単に活用され、第一線の検事は政治が検察権行使に深く入り込んだと感じていたところ、一般の検事に対する公開批判が行われ、不満が爆発したものとみられる」と分析した。
国政監査の局面であらわになったチュ長官とユン総長の正面衝突は、2人の職務遂行に対する支持度を低下させた。世論調査機関の韓国ギャラップが27~29日、全国の成人1001人を対象に調査(信頼水準95%、標本誤差±3.1%)した結果、チュ長官の職務遂行に肯定的見解を示した人の割合は、7月の調査(40%)時より8ポイント下がった32%だった。ユン総長に対しても、7月の調査より4ポイント下がった39%の人が肯定的な見解を示した。この調査はチュ長官の「一般検事公開批判」と、それに続く集団反発の状況が完全に反映されていないにもかかわらず、チュ長官の職務遂行に対する評価の落ち幅がユン総長より大きかった。