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[ニュース分析]文大統領、権力機関改革の法制化に“スピード”求める

登録:2020-09-22 06:40 修正:2020-09-22 11:21
19カ月ぶりに戦略会議を再び主宰

文大統領、公捜処発足の遅れに遺憾示し 
「政府・与党・大統領府が力を合わせ、野党と協力を」 
国情院法改正案の議決も要求 
 
チュ・ミエ法相「直接捜査部署の縮小など 
人権擁護のために検察組織を改編する」 
 
法司委、公捜処法改正案を上程 
「国民の力」が公捜処長候補の推薦権を拒否し続けると 
「与野党2人ずつ」を「国会から4人に」に変更する案 
 
警察の総括指揮する「国家捜査本部」、輪郭が見え 
対共捜査権に備え、安保捜査局を新設

文在寅大統領が今月21日午後、大統領府で第2回国情院・検察・警察改革戦略会議を主宰している/聯合ニュース

 今月21日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1年7カ月ぶりに再び国家情報院(国情院)・検察・警察改革戦略会議を主宰した。あまり進展の見られない権力機関の改革に再び力を傾けるという意志を込めたものと言える。法務部と検察の間の対立と「チュ・ミエ法務部長官問題」を経て悪化した世論を反転させるという意志も反映されたものとみえる。

 文大統領は同日の会議で「いまや法制化だけが残されている」という発言で、韓国政府が主な国政課題に掲げた権力機関の改革を仕上げるため、与党が積極的に乗り出すよう求めた。文大統領は昨年2月、1回目の国情院・検察・警察改革戦略会議でも「実に恐ろしい」という表現まで用いて「法と制度まで改革しなければ、水を切り分けるように、明らかに分けたのに再び合わさってしまうかもしれない」とし、立法化を強調した。

 文大統領は特に、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が第一歩も踏み出せていない状況に遺憾を示し、「すみやかに発足し、本来の機能を果たせるよう政府・与党と大統領府が力を合わせて、公捜処長の推薦など野党との協力にも力を入れてほしい」と述べた。公捜処法は、共に民主党が今年1月14日、未来統合党(当時)を除く野党と「4+1協議体」を設置して法案を通過させたが、法定発足期限(7月15日)を2カ月以上過ぎても機構が構成されていない。

 公捜処の発足が難航しているのを受け、民主党はこの日、国会の法制司法委員会(法司委)にキム・ヨンミン議員が発議した公捜処法改正案を上程した。公捜処長候補推薦委員を与党と野党がそれぞれ2人ずつ推薦するようにしたのを「国会が4人を推薦する」ことに変える内容だ。 国民の力(旧未来統合党)が推薦権を拒否し公捜処の発足が遅れているため、与党が法を改正してでも公捜処を発足させるという意味だ。

 文大統領は、前期の国会で会期満了によって自動廃棄された国情院法改正案の議決も求めた。文大統領は「国情院は対北朝鮮・海外専門情報機関として、国民と国家の安危にのみ力を集中できるよう、組織と人材を再編しなければならない」としたうえで、「情報機関の本分に忠実であれば、国民から信頼され、所属員の誇りも高くなることを確認できるだろう」と述べ、その必要性を強調した。民主党は、8月にキム・ビョンギ議員が代表発議した国情院法改正案について、最近、国会の情報委員会で議論を始めた。同法案の骨子は、国情院の名称を「対外安保情報院」に変更し、職務範囲から国内の情報業務と対共(共産党活動)捜査を削除し、国情院に対する国会の統制権を強化することを主な内容としている。見解の違いが最も大きい対共捜査権の移管などは、最後に議論することにした。民主党は、捜査権廃止の影響を減らすために、調査権は国情院に残す案を検討している。国民の力は、捜査権廃止そのものに反対している。情報委は23日、4回目の法案審査小委員会を開き、改正案について議論する。パク・チウォン国情院長は同日午後、政府ソウル庁舎で行われた合同ブリーフィングで「いかなる場合でも国内政治に絶対に関与できないよう法律で明確にする」と述べた。

 警察の1次的捜査権を認める刑事訴訟法改正案の施行を控え、警察捜査部署を総括指揮・監督する「国家捜査本部」の具体案も形が見えてきて。新設される国家捜査本部は、警察の捜査・生活安全・交通・保安など複数の部署に分散していた捜査機能を一つに統合・運営し、警察捜査の専門性を高める機能を果たす。特に、国情院の対共捜査権の移管に備え、国家捜査本部内に安保捜査局が設置される。チン・ヨン行政安全部長官はこの日のブリーフィングで「国情院の対共捜査権の(警察への)移管に備え、警察の安保捜査力を高める計画」だとし、「このために『新安保』概念に基づいた安保捜査局の新設を推進することにした」と述べた。

 捜査権改革も重ねて強調された。 チュ·ミエ法務部長官はブリーフィングで「直接捜査部署の統廃合・縮小を含め、検察の人権擁護機能を実質化するための検察組織および業務システムを画期的に改編することで、検察が直接捜査機関から脱して捜査の適法性を統制する人権擁護官、公訴を維持する公訴官として、検察官本来の役割を遂行できるようにする」と述べた。

ソン・ヨンチョル、キム・ウォンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/963065.html韓国語原文入力:2020-09-21 20:56
訳H.J

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