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「中国包囲戦略」参加を迫る米国…苦悩深まる韓国

登録:2020-10-16 03:34 修正:2020-10-16 09:17
「韓米同盟が危うい」相次ぐ憂慮、なぜ?
ソ・ウク国防長官(左から2番目)と米国のマーク・エスパー国防長官(右端)が14日(現地時間)、米ワシントンの国防総省で開かれた第52回韓米安保協議会(SCM)で案件を論議している=ワシントン/AP・聯合ニュース

 最近「韓米同盟が危うい」との指摘が相次いでいるのは、大統領選挙を控え、6月ごろから米政府が全方位的に推進してきたクアッド(Quad)や「クリーンネットワーク」などの「対中国包囲」戦略に韓国が煮え切らない反応を示しているためだ。

 ドナルド・トランプ政権は中国を包囲するため、外交・安保分野ではインド太平洋戦略にもとづいた「クアッド」、経済分野では華為(ファーウェイ)などの中国先端企業を孤立させる「クリーンネットワーク」などの様々な構想を打ち出している。まず、クアッド問題についてマイク・ポンペオ国務長官は7月23日、中国の経済的発展を支援すれば徐々に民主的な国家に発展するという歴代米政権の対中国「関与政策」は失敗したと述べ、「中国包囲」のための「自由主義国家」の連帯を提唱した。続いてスティーブン・ビーガン国務副長官は8月末の米国-インド戦略同伴者フォーラムで、インド太平洋地域には「明らかに北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)のような多国間構造がない」とし「(クアッドと呼ばれる)4カ国がまず始めてみることも非常に重要だろう」と述べた。

 こうした一連の流れの中、米国は6日に東京で米国、日本、オーストラリア、インドのクアッド4カ国が集まった外相会議で、この会合の定例化を宣言した。ポンペオ長官は冒頭発言で「4カ国が連帯して中国共産党の腐敗、搾取、抑圧から市民を守ることの重要性が徐々に高まっている」と主張し、続いてメディアとのインタビューでは「(4カ国)協力を他の国へと拡張し、将来はインド太平洋に多国間安全保障の枠組みを構築することが望ましい」と述べた。

 経済分野では、中国の代表的な情報通信(IT)企業であるファーウェイの急速な成長が米国の安保にとって大きな脅威になるとみて、包囲し孤立させるための様々な戦略を駆使してきた。「需要面」では、昨年初めから同盟国に対し、ファーウェイが絶対優位を確保している次世代無線通信(5G)分野で同社の製品を排除するよう圧力をかけ、「供給面」においても、先月15日から米国の技術とソフトウェアを用いて作られた半導体を米国の承認なしに販売できないようにした。ポンペオ長官は8月5日の記者会見で、「市民の個人情報と企業の最も敏感な情報を、中国共産党のような悪意ある行為者の攻撃的浸透から守ろう」という大義名分を掲げ、通信網・スマートフォンアプリ・クラウドサービスなどから中国企業を排除しようと述べ、同盟国の参加を促している。米国政府は14日にオンラインで開かれた第5回韓米ハイレベル経済協議体において、韓国政府に「クリーンネットワーク」への参加を求めたが、韓国政府は「検討する時間が必要だ」として即答を避けた。

 トランプ政権による同盟国に対する度を越した強圧的要求をめぐっては、米国内でも様々な批判が起こっている。リチャード・アーミテージ元国務副長官は3日、日本経済新聞のインタビューで「インド太平洋での有志国連合の結成は望ましいが、それは決して何かに対抗するものであってはならない。ポンペオ国務長官はその(米国か中国かの)選択を迫っている」と批判した。実際にクアッド参加国も、香港や南シナ海の問題などに見られるように、中国の傍若無人な態度をけん制する必要があるということには共感するものの、クアッドが中国けん制のための集団安保体制へと発展することにまで同意するかは未知数だ。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/965971.html韓国語原文入力:2020-10-15 21:01
訳D.K

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