南シナ海をめぐる米中の対立が続くなか、9日から東南アジア諸国連合(ASEAN)を舞台とした本格的な多国間外交舞台が始まる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でテレビ電話会議が行われる予定だが、ASEANを味方に引き入れようとする米中間の激しい綱引きが続くものとみられる。
外交部は7日、カン・ギョンファ長官が9日に開かれる韓-ASEAN、ASEAN+3(韓中日)、東アジア首脳会議(EAS)の外相会議と12日のASEAN地域フォーラム(ARF)に出席する予定だと発表した。今回の会議は当初ベトナムで開かれる予定だったが、COVID-19による危機の長期化により、テレビ電話会議で進められる。北朝鮮が参加する唯一の多国間会議体として毎年関心を集めてきたASEAN地域フォーラムに、北朝鮮がどのような形で出席するのかはまだ確認されていない。
今回の会議は、香港問題以後、米中が南シナ海で殺伐とした軍事訓練を繰り返しているなか開かれる多国間会議であることから、米中間で火花の散る攻防が展開されるものと予想される。これに先立ち、米国が6月から7月にかけて、南シナ海で空母2隻を動員した大規模軍事演習を強行したことに対し、中国は先月26日、米空母を打撃できる能力を備えた「空母キラー」DF-21Dなど弾道ミサイル4発を発射した。米軍の空母の自由な動きを牽制するという意図を露わにしたのだ。これを受け、スティーブン・ビーガン米国務副長官は先月31日、米国の対中国包囲戦略であるインド太平洋戦略を具体化した「日米豪印戦略対話(QUAD)」をアジア版北大西洋条約機構(NATO)のような多国間安保同盟にできるという構想を明らかにした。中国はCOVID-19ワクチンの提供、インフラ投資などで対抗する見通しだ。
米中の板挟みになった韓国政府は「米国のインド太平洋戦略と韓国の新南方政策に共通要素が多いことを確認し、両国間の地域分野協力を推進する」という原則的な立場を示している。外交部当局者は「今回の会議は10~20カ国余りが参加する多国間会議なので、米中が会議を支配する構図ではない。南シナ海問題のほかにもいくつもの問題が協議されるだろう」と述べた。