本文に移動

韓国の保守団体らが新型コロナの危険にも集会にこだわる理由とは

登録:2020-10-10 06:57 修正:2020-10-10 08:44
集会生中継の後援金が主な収入源…資金難の保守団体 
「ハングルの日」集会の生配信、大半が後援金を募集 
生配信するユーチューバーが警察に暴言浴びせるほど後援金が急増 
コロナ以降、集会減少し、財政も萎縮 
 
新韓国「財政あまりにも貧弱」と訴える 
金銭的な理由で新聞広告もできず 
チョン・グァンフン牧師拘束などで結集力弱まったとの分析も
今月9日、ある保守ユーチューバーが光化門一帯で集会状況を中継しながら後援金募集案内をし、リアルタイムで「スーパーチャット」で募金している=ユーチューブ画面より//ハンギョレ新聞社

 防疫当局の懇切な要請と警察の封鎖にもかかわらず、保守団体が集会を続けるのは、金銭的な問題のためと見られる。

 「8・15光化門(クァンファムン)国民大会非常対策委員会」(8・15非常対策委)など、9日の「ハングルの日」に集会を開いた団体らはいずれもユーチューブによる生中継を行った。ユーチューブ中継画面の下段や集会参加者が持っているプラカード、手立て札などには後援金を要請する文言や口座番号が書かれていた。集会に出席できない人たちはユーチューブの生配信を見ながらリアルタイムでスーパーチャット(ユーチューブの生配信中に理由可能な投げ銭及びコメント機能)で送金し、口座振替で送金することもあった。ハンギョレが同日生配信を行った保守ユーチューバーの動画10件を調べた結果、8件が後援金の募集口座を案内していた。デモ隊は光化門一帯に車の壁やフェンスが設置された場面を見せながら、「警察による集会遮断は政治的弾圧だ」と主張し、現場で集会を管理する警察と衝突する場面を演出した。リアルタイムのチャットウィンドウでは、ユーチューバーが警察に向かって暴言を吐いたり声を荒げたりする度に、後援金が急速に増えていった。

■保守団体、集会の生配信で後援金募集…新型コロナで“萎縮”

 このようなユーチューブの生配信を通じた後援金募集が保守団体の最も重要な収入源に挙げられる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散を防ぐため、防疫当局が集会デモの自制を訴えても、彼らは集会を続けないかぎり、後援金を集めることはできない。彼らはCOVID-19の感染拡大にもかかわらず、週末ごとに集会を開いてきたが、8・15集会後の第2派の影響で活動が大きく萎縮した。

 保守団体はそれぞれ金銭的な厳しさを訴えながら、活動維持のための募金活動に余念がない。「ドライブスルー」車両集会を主導している「新しい韓国のための国民運動」(新韓国)代表のソ・ギョンソク牧師は6日、支持者に送った公知文で「政府の弾圧が激しく右派運動は痛手を負った。新韓国は全国単位運動を展開しようとしているが、財政があまりにも厳しい。少ない金額でもいいから、寄付してほしい」と訴えた。ソ代表は先月末にも「『朝鮮日報』に集会デモ広報広告を出すためのお金や集会デモ禁止通告執行停止訴訟のための弁護士実費も必要だが、2百万ウォン(約18万円)しかない」とし、「これさえもほとんどが旗の制作に費やされ、後援費はほとんど入ってこない。後援金を集めてほしい」と述べた。しかし、後援が活発に行われず、結局保守団体は新聞広告も出すことができなかった。

「ハングルの日」の今月9日午後、ソウル鍾路区普信閣前で集会を試みるデモ参加者らが、現政府を批判する掛け声を叫んでいる。韓国政府は同日、新型コロナの感染拡大予防のため、ソウル都心で不法集会を強行した場合、迅速に解散し、新型コロナ患者発生時の損害賠償も請求することにした/聯合ニュース

■似ているようで異なる保守団体ら「正統性重視したあまり、結集できず」

 保守団体が一丸となって団結できないおとが、彼らの勢力拡張と財政的困難の克服の主な原因という分析もある。

 集会を続けている保守団体は大きな枠組みで文在寅(ムン・ジェイン)政権を糾弾する点では類似しているが、各論をめぐって立場に違いがはっきりしている。まずチェ・インシク代表が率いる8・15非常対策委はサラン第一教会と拘束されたチョン・グァンフン牧師に追従する支持者で構成されている。彼らは、防疫当局がサラン第一教会とチョン牧師が主導した8・15光化門集会がCOVID-19の感染拡大の原因と分析していることに対し、「政治防疫」と主張して対立している。チョ・ウォンジン我が共和党代表の「朴槿恵(パク・クネ)大統領無罪釈放のための1千万国民運動本部」(釈放運動本部)は朴槿惠前大統領の釈放に焦点を合わせている。釈放運動本部は政党を基盤とする団体であるため、宗教団体に基づく8・15非常対策委とは軌を一にせず、一線を画すと評価されている。国民の力(前未来統合党)のミン・ギョンウク元議員が中心となる「4・15選挙不正国民闘争本部」(闘争本部)は、保守陣営内でも共感しない人が多く、他の団体と相容れない傾向があるという。保守団体の内部事情をよく知るある関係者は「進歩団体は一つの目的のために団結する力が強い反面、保守団体は正統性を重視する傾向がある」とし、「他の保守団体と路線が違うということを強調して後援金も別途に集め、集会デモもそれぞれ独立的に開催する」と説明した。

「ハングルの日」の今月9日午後、ソウル鍾路区普信閣で8・15光化門国民大会非常対策委の関係者らが記者会見を終えた後、街頭行進をしている。韓国政府は同日、新型コロナの感染拡大予防のため、都心で不法集会を強行した場合、迅速に解散し、患者発生時の損害賠償も請求することにした/聯合ニュース

■チョン・グァンフン牧師の拘束で求心点弱まった…獄中書信で督励

 一部では、求心点の役割を果たしたサラン第一教会のチョン・グァンフン牧師拘束後、保守団体の結集力が弱くなったという分析もある。多くの後援金を集め、最も大きな影響力を行使したチョン牧師が拘束されたことで、保守団体を集めて集会を開く動力が落ちたということだ。チョン牧師は同日午後、“獄中書信”を通じて「集会の全面禁止は、自由民主主義国であることを放棄した行為」だとし、「文在寅大統領は国民の基本権である自由を完全に禁止したこの犯罪行為について謝罪しなければならない」と主張した。

イ・ジェホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/965185.html韓国語原文入力:2020-10-09 18:22
訳H.J

関連記事