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今度は白い粒子…インフルエンザ・ワクチン61万本回収、供給不足の恐れ

登録:2020-10-10 02:32 修正:2020-10-10 09:48
9日、食品医薬品安全処が緊急ブリーフィング 
特定業者の注射器使用したワクチンから発見 
食品医薬品安全処「安全性や効能には問題ない」
注射器の中の原液から白い粒子が発見され、回収される(株)韓国ワクチンのインフルエンザ・ワクチン=食品医薬品安全処提供//ハンギョレ新聞社

 韓国ワクチンが製造したインフルエンザのワクチンから白い粒子が発見されたことから、すでに医療機関に供給されているワクチン61万5千本が回収されることになった。先に流通過程で適正温度を守れず回収されたシンソン薬品のワクチン48万本を合わせると、100万本以上が減ることになり、今後のワクチン接種に支障が生じるのではないかという懸念が出ている。

 イ・ウィギョン食品医薬品安全処長は9日午後、緊急ブリーフィングを開き「6日、慶尚北道盈徳郡(ヨンドクグン)の保健所から、製品の中から白い粒子が発見されたという報告を受けた」とし「届出のあった製品と同じ韓国ワクチンの『コボックスインフル4カPF注』(Kovax Influ 4ga PF Injection)ワクチンを回収して検査したところ、白い粒子が確認され、製造会社が自主回収することになった」と明らかにした。白い粒子の成分は、肉眼で観察できる75マイクロメートル以上の粒子の99.7%がタンパク質で、0.3%はシリコンオイルだった。ワクチンの主成分である抗原タンパク質が凝集したものと推定される。

 食薬処は、白い粒子は流通過程ではなく、製造段階で発生したと見ている。ワクチンの原液を注射器に充填する工程で特定業者の注射器を使ったワクチンからのみ、白い粒子が確認されたためだ。イ・ウィギョン処長は「注射器と原液の反応によるものと推定している」と述べた。流通過程では全てが適正温度で管理されていたことが確認されている。韓国ワクチンはこのワクチンを、6つの製造単位において約90万本生産しており、このうち同じメーカーの注射器を使った4つの製造単位の物量を回収する予定だ。

 回収対象ワクチンは9日午後3時現在で、既に1万7812人に接種されている。国家予防接種支援事業の対象者7018人が無料で接種し、残りの1万794人は有料接種者だ。食薬処は、安全性と効能には問題がないと判断されるものの、国民の不安を考慮して先制的に自主回収することを決めたものと説明した。この日のブリーフィングに同席した高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「前日夕方、10人あまりの専門家がオンライン諮問会議を行った」とし「白い粒子が抗原タンパク質の凝集体なら、注射部位が痛んだり炎症反応が見られたりなどの局所的な異常反応が発生する可能性が高くなることはあっても、全身への異常反応発生の可能性は高くないということで意見が一致した」と語った。これまでに報告されている異常反応は1件で、局所部位の痛みを訴えたケース。

 常温ばく露事故に続き、今度は白い粒子が検出されたことが確認されたことから、今年のインフルエンザ・ワクチンの物量が不足するのではないかという不安が高まっている。今年の国内供給物量2964万本のうち、100万本ほどの空白が生じたことになる。ただし食薬処は、先に回収された48万本と重複する物量が一部あるため、正確な数量は調査中と述べた。イ・ウィギョン処長は「13日から再開される(無料)接種に影響があるかどうかなどについて、疾病管理庁と協議して対策を立てる計画」と述べた。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/965197.html韓国語原文入力:2020-10-09 19:55
訳D.K

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