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「ナヌムの家、後援金88億ウォンのうち被害女性のための施設には2億ウォン」

登録:2020-08-12 02:30 修正:2020-08-12 07:12
警察への捜査依頼を検討
ナヌムの家に対する集団後援金返還訴訟の代理人キム・ギユン弁護士(中央)と「慰安婦ハルモニ寄付金および後援金返還訴訟対策会」を代表して後援人カン・ミンソさん(右端)、キム・ヨンホさんが6月4日、訴状提出の前に記者団の質問に答えている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」被害女性の支援施設である京畿道広州市(クァンジュシ)の「ナヌムの家」が、巨額の後援金を集めながら、被害女性たちのためには直接使用せず、主に土地を買ったり建物を建てたりするために積み立てていたことが明らかになった。

 ナヌムの家官民合同調査団のソン・ギチュン共同団長は11日、京畿道庁で記者会見を開き、こうした内容を盛り込んだ「ナヌムの家官民合同調査結果」を発表した。

 ソン団長は「ナヌムの家は、2015年から2019年までに88億ウォン(約7億8800円)の後援金を募っていた」とし「しかしこの過程で、法人や施設としてのナヌムの家は、寄付金品法による募集登録を行っていなかったため、後援金の金額や使途などがまともに公開されず、登録庁の業務検査も受けていなかった」と明らかにした。寄付金品の募集および使用に関する法律によると、1000万ウォン(約89万5000円)以上の寄付金品を募集しようとする者は、登録庁(10億ウォン(約8950万円)を超過する場合は行政安全部)に登録しなければならない。

 調査の結果、後援金は「ナヌムの家」の施設ではなく、運営法人の口座に振り込まれていた。こうして集まった88億ウォンあまりの後援金のうち、被害女性たちが生活しているナヌムの家の養老施設に送られた金額(施設転出金)は2.3%の2億ウォン(約1790万円)に過ぎなかったことが分かった。一方、運営法人が財産造成費として使った後援金は26億ウォン(約2億3300万円)あまりだった。財産造成費は土地購入、生活館の増築工事、遺品展示館および追悼館の新築費用、追悼公園造成費などに使われた。

 残りの後援金は、理事会の議事録や予算書などによると、国際平和人権センター、療養院の建設などのために備蓄されていたとみられる、というのが調査団の説明だ。被害女性に対する精神的虐待も発見された。一部の看病人は「おばあさん、捨てちゃうよ」、「叱られたいのか」などといった言葉の暴力を振るい、特に意思疎通と身動きが不可能な重症の女性に集中していたとソン団長は説明した。

 またナヌムの家は、入退所者名簿をきちんと管理しておらず、女性たちの絵や写真、国民の応援の手紙などを袋やビニールに入れ、建物のベランダに放置していた。この中には国家指定記録物に指定されている資料もあった。第1歴史館に展示中の記録物の原本は湿度調節がなされておらず損傷しており、第2歴史館はずさんな床工事のため床面が持ち上がり、安全が憂慮される状態だった。

 このほか、理事会の議決過程での不当行為も発見された。ナヌムの家は法人の定款上、理事の除斥制度を設けているにもかかわらず、理事の候補者が自分を理事に選任する過程に参加し、理事として議決していたことが確認された。

 京畿道は今後、官民合同調査団から最終調査結果を受け取って検討した後、警察に捜査を依頼するとともに、社会福祉事業法などの関係法令に違反した事項については行政処分を下す予定だ。

 ナヌムの家官民合同調査団は先月6日から22日まで、行政と施設運営、会計、人権、歴史的価値の4つの班に分かれ、ナヌム家の運営法人と施設、日本軍慰安婦歴史館および国際平和人権センターなどについて調査した。

 官民合同調査団は全北大学法学専門大学院のソン・ギチュン教授、チョ・ヨンソン弁護士(元国家人権委員会事務総長)、チョン・ヒシ京畿道議会議員、イ・ビョンウ京畿道福祉局長を共同団長として、京畿道と広州市の公務員と民間の専門家が参加した。

 1992年に設立された社会福祉法人ナヌムの家には現在、5人の慰安婦被害女性が生活しており、被害女性たちの平均年齢は95歳だ。

キム・ギソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/957317.html韓国語原文入力:2020-08-11 11:49
訳D.K

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