リ・ソングォン北朝鮮外務相は12日、「二度と何の見返りもなく、米国の執権者に宣伝用の治績を渡すことはないだろう」と述べたと、「朝鮮中央通信」が報じた。
リ外務相は6・12朝米シンガポール共同声明2周年に合わせて発表した「談話」で、「我が共和国の変わらぬ戦略的目標は、米国の長期的な軍事的脅威を管理するためのより確実な力を育てること」だとし、「これが6・12(共同声明)2周年を迎え、我々が米国に送る答えだ」と述べた。同談話は北朝鮮住民が読む「労働新聞」には掲載されず、外部向けの朝鮮中央通信でのみ公開された。
リ外務相は「我が最高指導部と米大統領の親交関係が維持されたからといって、実際に朝米関係が改善されたことは一つもないのに、シンガポールで握手した手を握り続ける必要があるだろうか」と問い返した後、「米国が口先では我々との関係改善を掲げ、実際には情勢の激化に狂奔してきた。米国の根強い対朝鮮敵視政策が根源的に終息しない限り、米国は我々に対する長期的な脅威として残るだろう」と述べた。
「米国の軍事脅威を管理する確実な力」と関連し、リ外務相は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が主宰した朝鮮労働党中央軍事委員会7期第4回拡大会議(「労働新聞」5月24日付1面)で「国家の核発展戦略について討議」し、「核戦争の抑止力を強化することを厳粛に宣言した」と想起させた。
リ外務相の談話は随所に荒い表現が含まれていた。6.12共同声明以降、2年間にわたり米国が見せてきた態度が「制度転覆、核先制打撃、対(北)朝鮮孤立圧殺を意味する」とし、「朝米関係改善への希望は絶望へと変わった」と語った。にもかかわらず、6・12共同声明の「白紙化」や「廃棄」には触れなかった。「シンガポールで握手した手を握り続ける必要があるだろうか」という質問は、逆説的に米国の態度変化を求める間接話法と言える。直ちに「対米武力誇示」を予告しなかった点も、同じ脈絡だ。
リ外務相の談話は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の今年の新年の辞に代わる労働党中央委7期第5回全員会議(2019年12月28~31日)の結論の延長線上にある。金委員長は当時、「朝米対決は自力更生と制裁の対決」とし、経済を「基本戦線」とし、農業を「主打撃前方」とした「自力更生式正面突破戦」を新たな方向として提示した。
一方、米国務省は北朝鮮との対話再開の可能性に関する国内メディアの質疑に対し、「米国はシンガポール首脳会談のすべての約束に対するバランスの取れた合意に達するため、柔軟なアプローチを取る意向がある」と強調した。