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疾病管理庁、「見た目だけ格上げ」論争…保健福祉部が裏で“中身”を得るのか

登録:2020-06-05 10:28 修正:2020-06-06 07:21
国立保健研究所・感染症研究センターの移管に 
チョン・ウンギョン本部長「疾病管理庁の中にも 
感染症研究組織と人材を拡充すべき」 
保健研究院の移管には「必要と判断」 
保健医療全般の研究を担当するというのが理由 
イ・ジェガプ教授「移管の撤回を」国民請願
疾病管理庁への昇格が計画されている疾病管理本部//ハンギョレ新聞社

 「疾病管理庁の中にも疫学調査や感染症予防・退治に関する政策を開発・研究する組織と人材を拡充すべきだ」

 疾病管理本部(疾本)が疾病管理庁に昇格するが、研究機能を保健福祉部に奪われることになったという論争に関し、4日、チョン・ウンギョン本部長(中央防疫対策本部(防対本)本部長)がこのように話した。チョン本部長は「(疾本傘下の)国立保健研究院は保健医療全般の研究を担当しているため、福祉部の傘下に移管されるのは必要だと判断した」としながらも「(国立保健研究院が行う)基礎ワクチン・治療剤の開発研究とは性格の異なる公衆保健研究機能に関して、行政安全部と引き続き協議を進めている」と明らかにした。疾病管理庁内に政策研究機能を引き続き置くべきだという意思を明確にしたのだ。同日、防対本のブリーフィングは副本部長のクォン・ジュヌク国立保健研究院長が受け持つ予定だったが、ブリーフィング開始直前にチョン・ウンギョン本部長に変わった。

 前日、行政安全部は保健福祉部所属機関である疾病管理本部を中央行政機関である疾病管理庁に昇格する内容を盛り込んだ政府組織法改正案を立法予告した。改正案には、疾本の傘下にあった国立保健研究院と研究院傘下の感染症研究センターをすべて福祉部に移管する内容も含まれた。感染症研究センターは、研究者ら43人がウイルス研究などを担当しているところだ。改正案通り同研究センターを福祉部傘下に移し、国立感染症研究所に拡大改編すれば、疾病管理庁には疫学調査や検疫などの機能だけが残ることになる。疾病管理庁の人員規模と役割、機能は第21代国会開院後に改正案が成立してから最終的に決定されるが、このままだと疾病管理庁の定員は907人から746人に、予算は8171億ウォンから6689億ウォン(約600億円)へと、これまでよりむしろ削減される。ただし、疾病管理庁独自に予算編成、組職運営ができるようになる。

 感染症専門家らは反発した。翰林大学医学部のイ・ジェガプ教授(感染内科)はこの日、大統領府の国民請願掲示板に「疾病管理庁に格上げ、きちんとやってください」という題の文章を載せ、「疾本傘下機関として研究機能を担当していた国立保健研究院、特に感染症研究センターまで福祉部に移す計画は撤回されるべき」だと主張した。また「『庁』として独立させるとしながら政策研究機能を福祉部に移してしまうなら、疾本は感染症問題が発生するたびに後始末する役割しかできない」とし、「散らばっている感染症政策機能を疾病管理庁に集めるべきだ」と述べた。イ教授が提出した国民請願には2万834人(4日午後4時現在)が署名した。

 保健福祉部側は同日、中央災害安全対策本部(中対本)の定例ブリーフィングで火消しに出た。保健福祉部のイム・インテク保健産業政策局長は「国立保健研究院は感染症研究ばかりを行うところではない。(福祉部の傘下に移れば)幹細胞研究など全体的なバイオヘルス産業基盤の力量を強化できるという政策的判断があった」と説明した。

ファン・イェラン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/947948.html韓国語原文入力:2020-06-05 09:41
訳C.M

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