家の二階の部屋に戒厳軍の銃弾が…
「孫の面倒を見ていた母が現場で即死」
8人が死亡したが、軍は「デモ隊を射殺」
民間人集団虐殺の証言はますます増え
チュナム村・光州刑務所・ヒョチョン駅…
検察、加害者の捜査には手をつけず
「反人道的犯罪は公訴時効の排除が可能」
国際刑事裁判所規定、2002年発効
「責任者の処罰、法理を緻密に準備すべき」
「もちろん処罰すべきだ。でも、私たちみたいな力のない人たちに何ができるんだ…」
今月17日、光州(クァンジュ)国立5・18民主墓地を訪れたキム・オクスさん(82、全羅南道羅州市公山面新谷里)が母親イ・メシルさんの墓前でため息をついた。持病で入院中のキムさんは、この日5・18民衆抗争40周年追悼祭に出席するために短い外出をした。
農業をしていたキムさんは当時42歳、母親は68歳だった。故郷の母に光州で学校に通っている中学1年生、小学校5年生の兄妹の面倒を見てほしいと頼んだ。母は孫たちにご飯をつくってあげると言い、すぐに光州に来た。
1980年5月22日、母は午後5時、光州市西区双村洞(ソグ・サンチョンドン)1002-37の自宅の2階で、部屋のドアを貫いた銃弾に頭を撃たれた。多発性銃傷を負って現場で絶命した。デモには近づきもしなかった。
戒厳軍は前日、全羅南道庁前で集団発砲した後、外郭に退却し、光州デモが外部に広がらないよう封鎖作戦を繰り広げた。光州に移動した第20師団62連隊はこの日、光州の国軍統合病院を確保せよという任務を受けた。戒厳軍は戦車を先頭にして8車線の道路に進入する途中、建物に向かって小銃を乱射した。病院から200メートル離れた道端の最初の家に住んでいた母が災難に遭った瞬間だった。
「バイクに棺を乗せて慌てて帰ろうとしたが、尚武台の前で止められた。棺を見せて懇願した。一人で入棺した後、一晩を一睡もせず過ごし、野菜を売りに来たトラックに乗せて故郷に帰った。祖先の墓地に埋めたが、10日ほど後に検死をすると言ってまた遺体を持って来いという。やむを得ず墓を掘り返した。親不孝をしてしまったことに今でも涙が出るよ…」
戒厳軍は当時を「デモ隊がアパートなど高層から銃を撃ったため応射した。射殺3人、負傷10人、逮捕25人の戦果を挙げた」と記録した。しかし1995年、検察はこの一帯で17~68歳の住民6人が死亡したと見ており、5月団体は少なくとも8人が死亡したと確認した。
5・18当時、戒厳軍による民間人被害は検察が起訴したものだけで9件だ。光州郊外のヒョチョン駅、チュナム村、光州刑務所などで起きた虐殺だ。検察は被害者を特定したが、「命令に従っただけ」である加害者は捜査しなかった。そのため、事件の経緯や被害の規模も明らかになっていない。
民間人集団虐殺についての証言は後を絶たない。22~23日のミニバス銃撃で多数の犠牲者が出たチュナム村事件は、国会聴聞会と検察の捜査でも確認された。このほかにも集団虐殺2件が別の時間に起きたという目撃者の証言もある。保安施設である光州刑務所では、国家暴力の実状が徹底的に隠蔽された。戒厳軍が21~22日に国道を通過していたキム・ソンスさん一家、高速道路で潭陽(タミャン)住民4人に加えた銃撃も、暴徒の襲撃を撃退したものと操作された。
また、全南大学などで逮捕した市民を刑務所に移送し監禁する過程で、車内に催涙弾を爆発させ鎮圧棒で殴打して死亡者が出ると、遺体を埋めたという戒厳軍と刑務官の証言も出てきた。24日、松岩洞(ソンアムドン)では、戒厳軍の間の銃撃戦で人命被害が出た後、周辺の民家を捜索する過程で住民のクォン・グンリプさんの息子や友人など5人が虐殺された事件もあった。当時、第11空輸旅団副士官が至近距離でこめかみを狙って発射したM16銃弾を受けて死亡した「キム君」は、40年たった今でもまだ行方が分からない。死ぬ場面を見た目撃者がいるが、まだ遺体すら見つかっていない。
デモ鎮圧作戦の範囲から外れた民間人集団虐殺6件に対し、5・18真相究明調査委員会も調査に乗り出す計画だ。実行部隊の指揮官や現場兵士などを調査し、法的・社会的責任を問うということだ。5・18記念財団のチョ・ジンテ常任理事は「国家暴力加害者はいまだに民間人虐殺を否定するか、自衛的手段だったと強弁している。民間人虐殺の証人・証拠を集めて国家報告書に記録しなければならない。さらに検察告発や特別検察官の構成などで、司法の正義を立てなければならない」と述べた。
調査後、真相究明委が民間人虐殺者を検察に告発した際の処罰の可能性を巡り、攻防が展開される場合がある。法曹界では、一事不再理の原則(一度処罰した犯罪は再び処罰できない)にもかかわらず、全斗煥(チョン・ドゥファン)氏など虐殺責任者を裁判し直すことができるという主張が出ている。2002年に60カ国が批准、発効した国際刑事裁判所のローマ規定の「人道に反する罪」を適用すればいいということだ。ローマ規定は、国家機関が体系的に広範囲に民間人を殺害・傷害・強姦・拘禁・追放する行為を「人道に反する罪」として適示した。人間の尊厳のために、反人道的犯罪は遡及禁止、公訴時効、一事不再理などの一般刑事原則に制限を受けずに処罰できるという国際的合意だ。
ドイツで国際刑事法を専攻した韓国刑事政策研究院のパク・ギョンギュ副研究委員は「民間人集団虐殺をさらに明らかにすれば、人道に反する罪のうち殺害容疑の構成要件を満たす可能性が高くなる。責任者を処罰するには、情緒的なレベルにとどまらず、遡及適用が可能なのか、公訴時効の問題はないのか、再び裁判をすることができるのかなど、法理を緻密に準備しなければならない」と語った。