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「5月光州」40周年を迎えたが、依然として究明すべき真実は多い

登録:2020-05-19 08:43 修正:2020-05-19 10:41
[5・18民主化運動40周年] 
チェ・ジョンヒさん、記念式典で夫を亡くした話を紹介 
国立墓地にはコロナ禍のなかでも訪問者相次ぐ 
ローマ教皇「人権のために犠牲になった若者たちを記憶しよう」 
5・18民主化運動当時、夫を亡くしたチェ・ジョンヒさんが第40周年記念式典に出席し、夫に送る手紙を読み上げている//ハンギョレ新聞社

 「歳月は流れゆくとも、山河は覚えている」

 5月のその日が巡って来て、再び生者たちを涙ぐませた。40回目の5月を迎える18日、錦南路(クムナムロ)には犠牲者家族の悲しいストーリーと共に真相究明を求める声が響いた。国立5・18民主墓地では遺族と市民の参拝が一日中続くなど、5月の英霊を慰労し、大同精神を受け継ぐ雰囲気がピークに達した。同日、ローマ・カトリック教会のフランシス教皇は人権のために犠牲になった若者を記憶しようという内容の5・18特別メッセージを送ってきた。

 今年の記念式典は初めて5・18抗争の心臓部だった旧全南道庁前で開かれた。同日の記念式典では、1980年5月21日に牛の販売代金の集金に出かけた夫のイム・ウンテクさん(当時35)が、10日後に旧光州刑務所で遺体が埋められた状態で発見されたというチェ・ジョンヒさん(73)のストーリーが紹介された。チェさんは「若くして3人の子どもを一人で育て、苦労も多かった。先に亡くなった夫を恨んだこともあった。再び夫に会えたら、3人兄弟を立派に育ててご苦労さまだったという労いの言葉が聞きたい」と語った。

 記念公演の舞台には5・18市民軍のキム・ソンチャンさん(1982年に拷問の後遺症で死亡)の娘、キム・ソンジョン檀国大学芸術デザイン大学教授が「光州の魂」をテーマにサルプリ舞を捧げた。キム教授は、汗まみれになりながら激情的なダンスで父親と5月の英霊たちを追悼した。

 同日の記念式典は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が5・18民主広場に入場した午前10時から一時間にわたって行われた。若い世代が5・18を記憶しようという意味を込め、毎年5・18遺族会長が担当してきた経過報告を5・18有功者家族のキム・リュ二さん(20)とチャ・ギョンテさん(19)が担当した。文大統領が記念演説を通じて5・18真相究明や5・18精神の憲法前文収録などへの意志を表明すると、出席者らは大きな拍手を送った。記念式典は全員が「君のための行進曲」を提唱して幕を下ろした。

 式典を見守った一般市民らは同日、記念式が終わった後、5・18民主広場で会った政治家に「5・18真相究明」を求めた。共に民主党のイ・ヘチャン代表とキム・テニョン院内代表は、5・18ヘリコプター射撃の重要な証拠である「全日ビル245」を視察した。

共に民主党のイ・ヘチャン代表やキム・テニョン院内代表ら党指導部が今月18日、光州広域市東区にある全日ビルを訪問し、5・18ヘリ射撃関連の目撃と証言を収録した映像を見ている//ハンギョレ新聞社

 今年初めて開かれた「広場での記念式典」だったが、大型スクリーンが設置されず、外にいた多くの市民が何が行われているかわからず立っているなど、気配りの面では残念な部分もあった。

 5・18犠牲者が安置された国立5・18民主墓地にも一日中市民や遺族などの追悼客が後を絶たなかった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態で、参拝者の数は例年に比べ減少したが、墓地をゆっくり回りながら粛然と参拝するなど、滞在時間はむしろ長くなった。登校授業の開始が見送られたため、制服姿で訪れる中高生の現場学習は目立って減った。5・18民主墓地管理所は「昨年5月には35万人が参拝した。今年はCOVID-19の影響で光州の様々な行事がキャンセルされ、記念式典も全南道庁前広場で開かれたため、参拝者がやや減ったものとみられる」と話した。

フランシスコ教皇は17日、光州林洞の主教座聖堂で開かれた5·18 40周年記念ミサで「命をかけて人権を守った若者たちを記憶しよう」とのメッセージを伝えた/聯合ニュース

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は同日、5・18 40周年を迎え、「人権のための若者たちの犠牲を記憶しよう」というメッセージを光州教会に送った。駐韓教皇大使アルフレッド・シュエレブ大司教は17日、光州市北区林洞(プック・イムドン)の主教座聖堂で開かれた5・18民主化運動40周年記念ミサで、「フランシスコ教皇が1980年に起きた5・18の40周年を記念するという知らせを聞いて喜んだ」とし、このように伝えた。

 教皇はメッセージで「人権を守るために命を捧げた若者たちの犠牲が記憶されることを願う。個人の尊厳と権利の尊重、生命保護など社会秩序を形成するのに光州教会が引き続き役割を果たし、努力しなければならない」と述べた。さらに「今回の記念式典が平和と和解を成し遂げるのに貢献し、韓国国民の心の中に連帯と兄弟愛を増進させることを望んでいる」と付け加えた。

 この日のミサは「私たちはあの日のように生きていますか:大同社会を生きていくための分かち合いと連帯」というテーマでヨム・スジョン枢機卿ら主教団とキム・ヒジュン光州大教区長が共同で執り行った。

キム・ヨンヒ、チョン・デハ、アン・グァノク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/945422.html韓国語原文入力:2020-05-19 02:42
訳H.J

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