文在寅(ムン・ジェイン)大統領が18日、5・18民主化運動40周年記念演説で最も多く使った言葉は「5月精神」だ。計10回も登場した。同日強調された5月精神は、これまで政治家と社会活動家らが「5月光州(クァンジュ)」を語って引用した「不義に対する抵抗」や「民主的価値に対する献身」のような政治的意味以上のものだ。一言で言うと「友愛・連帯・犠牲で成し遂げた共同体精神」だ。文大統領が特別に「5月精神」を記念演説のキーワードにしたのは、「不平等と二極化」という伝統的不安要因に加え、「新型コロナ危機」がもたらした新しい難局を乗り切るためには、韓国政府の努力だけでなく市民社会の能動的連帯がいつになく重要になったという認識によるものとみられる。
■「自分なら道庁に残ることができただろうか?」
文大統領は「5月精神は平凡な人々の平凡な希望が他人の苦痛に応えて作られたもの」だとし、「家族を愛し、隣人を心配する心が集まって正義の精神となった」と述べた。それとともに「直接デモに参加しなかった市民や生徒・学生たちもおにぎりを分け合い、負傷者の面倒を見て、血が足りないと聞けば、喜んで献血を行った。我々は独裁権力とは違う我々の隣人に会い、命まで捧げられる民主主義の真の姿を見た」と強調した。
文大統領は5月精神が「国民一人ひとりの心に宿り」、民主化を成し遂げ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という国難も克服する力を与えたと述べた。彼は「生者たちは死者たちの声に応えながら、民主主義を実践した。光州の真実を知らせることが民主化運動となり、5・18は大韓民国の民主主義の偉大な歴史となった」と述べた。
彼は「答えが何であれ、『自分なら道庁に残ることができただろうか』と自問する時間を持ったなら、我々はその日の犠牲者たちの声に応えたのだ」と述べた。文大統領は「(コロナ禍の際に)病床が足りず苦しんでいた大邱のために光州が真先に病床を用意し、5月の母親たちは献身する大邱医療陣のために真心で用意したおにぎり弁当で、困難を分かち合った」とし、「(5月精神が)新型コロナの克服で世界の模範になる底力になった」と述べた。
■「5月精神は分かち合いと協力、連帯と思いやりの精神」
文大統領は、5月精神がこれからの世代ににもさらに広がり、受け継がれなければならないと強調した。彼は「5月精神はもっと広く共感されなければならず、世代と世代を繋ぎながら新しく生まれ変わらなければない」とし、「5月精神は誰のものでもない我々みんなのものだ」と述べた。大統領府関係者は「分かち合いと協力、連帯と思いやりという5月精神が大韓民国の民主化の精神的支柱の役割を果たした」とし、「COVID-19局面でも封鎖と遮断ではなく、5月精神の連帯と協力が解決策になり得るという点を強調した」と述べた。
文大統領は5月精神が新型コロナ時代の危機を克服する上でも発揮されることを期待した。「危機はいつも弱者にはさらに苛酷だ」とし、「我々の連帯が最も弱い人にまで及んで、彼らが立ち上がれる時、危機を克服する我々の力も一層強くなるだろう」と述べた。
■「いつか改憲が実現すれば…」
文大統領は憲法に5・18が盛り込まれるべきだと重ねて強調した。「憲法前文に5・18民主化運動を刻むことは、5・18を誰も否定できない大韓民国の偉大な歴史として位置づけることだ。いつか改憲が行われるなら、その意味を生かしていくことを希望する」と述べた。文在寅大統領が5・18民主化運動記念式典に参加したのは、2017年と2019年に続きこの日が3回目となる。