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防疫当局「レムデシビル、更なる臨床結果や副作用を確認すべき」

登録:2020-05-04 02:16 修正:2020-05-04 07:53
チョン・セギュン首相が3日午後、政府ソウル庁舎の中央災害安全状況室のソウル状況センターで開かれた新型コロナ対応中央災害安全対策本部会議で発言している//ハンギョレ新聞社

 米保健当局がレムデシビルを新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として緊急使用することを承認したことで、レムデシビルが強力な治療薬候補として関心を集めている中、韓国の防疫当局は改めて慎重な立場を表明した。

 中央防疫対策本部(防対本)のチョン・ウンギョン本部長は3日の定例ブリーフィングで「米国食品医薬品局(FDA)は重症患者に対する緊急使用を承認したものの、今も多くの国と医療機関で臨床研究が進められている。(レムデシビルによる)治療が窮極的に死亡率を下げたり他の重症度を下げたりするという具体的な臨床試験結果や、副作用などを見て判断すべき」と述べた。

 レムデシビルは、FDAが1日(現地時間)、重症以上のCOVID-19患者に対してのみ使用できるよう緊急使用を承認したことで、COVID-19の治療薬として注目されている。先月29日、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は「レムデシビルが初期の臨床試験で、COVID-19で入院した患者の回復期間を31%短縮した」という内容の肯定的な研究結果を発表した。レムデシビルを投与されたCOVID-19患者(11日)の方が偽薬を投与された患者(15日)より回復期間が4日早かった。

 レムデシビルは、米製薬会社ギリアド・サイエンシズが2009年からエボラ治療薬として開発してきた抗ウイルス薬で、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)などのコロナウイルス系の感染症にも効果があるという。

 レムデシビルの緊急使用承認について防対本のクォン・ジュヌク副本部長は前日、「権威ある米国機関が緊急使用を承認したということの意味は防疫当局も承知している」としつつも、「レムデシビルの臨床試験結果については専門家の領域であるため、一部の死亡率に関しては統計学的な有意性について少し疑問を呈する専門家もいる」と述べた。同日、食品医薬品安全処も「当該医薬品(レムデシビル)は現在、臨床試験が進められている最中のため、COVID-19治療薬としての安全性と有効性を判断する段階にはない。試験の分析対象者数、試験対象者の情報、異常反応などの追加資料が必要」との反応を示した。レムデシビルは現在、韓国国内でも3件の臨床試験が行われている。

 専門家は、米国の実験結果を韓国に当てはめるのは多少無理があると指摘する。国立がんセンターのキ・モラン教授(予防医学)は「回復期間に差は出たが、致命率はレムデシビル投薬群が8.0%、偽薬投薬群が11.6%で、統計的に意味のある差ではなかったし、イタリアでは数値が高いなど、すべての国に当てはめるには無理がある。先立って世界保健機関(WHO)で行われた臨床試験では、差がないという報告書が出てもいる」と説明した。高麗大学九老病院のキム・ウジュ教授(感染内科)も、「初めてプラセボ(偽薬)対照試験を行って治療期間の短縮効果を確認したことは意味があるが、死亡率も引き下げる効果があると拡大解釈すべきではない」と指摘した。

 防疫当局は、レムデシビルの効果と安全性を検証するとともに、迅速な導入を検討している。クォン・ジュヌク副本部長は「関係当局や関係省庁と緊密に協力し、専門家と話し合い、レムデシビルの臨床試験結果に対する整理、そして国内の有事の際の特例輸入手続きの早急な進行などについて、いま十分に備えて進めている」と説明した。

クォン・ジダム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/943438.html韓国語原文入力:2020-05-03 16:04
訳D.K

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